DREAM28 映画『今日も明日も負け犬。』監督 西山 夏実(にしやま なつみ)さん、 主演俳優 古庄 奈々夏(ふるしょう ななか)さん

ページ番号1009854  更新日 令和4年3月1日

先の見えない今だからこそ、今と向き合う

中学生の時に「起立性調節障害」と診断された西山さん。高校入学後も闘病生活が続く中、自身の経験を自らの手で映画化した『今日も明日も負け犬。』は多くの人の心に響く作品となり、「高校生のためのeiga worldcup(エイガワールドカップ) 2021」でグランプリのほか、優秀監督賞や最優秀女子演技賞など数々のタイトルを獲得しました。

この作品で主演を務めた親友の古庄さんと共に、映画製作の秘話や夢について聞きました。

写真:西山さんと古庄さん
映画監督の西山さん(左)と主演俳優の古庄さん(右)

好きだった映像製作

実体験を映画化したそうですね

西山:幼少期から映像製作が好きだったことに加え、この病気をもっと多くの人に知ってもらいたくて、いつか自分の人生を映画にしたいという夢がありました。そのために、元々は身近な人に読んでもらえればと思って友人に協力をお願いして本を書いてもらったのですが、インターネットで販売したところ、読んだ人から「もっと広めてほしい、救われた」など多くの感想をいただいたんです。

ちょうど新型コロナの影響で休校期間中だったので、このタイミングで映画化しようと決めました。

映像製作に興味があったんですね

西山:小学生の頃は、友達に演技をさせて、実写版ちびまる子ちゃんなどを撮影していましたね。放課後外へ遊びには行かず、ずっと編集していました。

高校生になってまた映像製作を始めようと思ってカメラを買ったら、古庄と2人でどっぷりはまっていきましたね。古庄とは映画以外にも作品を何本か作りましたし、映画化を決めた時も、真っ先に「出てよ」って声を掛けました。

古庄さんとの出会いはいつですか

西山:高校の同級生です。入学式の時に、私から声を掛けました。ですが、実は私たち小学生の頃に出会っていたんです。

古庄:私は、小学生の頃ふれあい文化センターで行われていた「春日ジュニアドラマセミナー」という演劇事業に参加していました。その発表公演に出演した時に、西山が観客としてそれを観に来ていたそうなんです。

西山:今でもその公演のポスターを家に飾っているんですが、古庄が初めて家に遊びに来た時に「これ、私なんだけど」と言われてびっくりしました。その公演だけはなぜか鮮明に覚えていて、その時かわいいと思っていた女の子がまさか古庄だったなんて。それが分かった時は鳥肌が立ちましたね。

山あり谷ありの撮影日々

大変だったことは

西山:高校生なので撮影が放課後か週末に限られていましたし、別の高校に通うスタッフもいたので、時間調整が大変でした。

でも一番の苦労は、スタッフの誰も正解がわからないことでしたね。プロの撮影を見たことがないし、製作方法も分からないから「合ってるの?上映日までに完成できるの?60分に収まるの?」という不安の中で1年間やり続けることが大変でした。

古庄:闘病する西山の役を、本人の目の前で演じることが大変でした。私の演技を目の前で見て、つらそうだったり過去の思い出がよみがえったりする時もあって。親友として支えたいという思いもあったので、気持ちの割り切り方が難しかったです。

写真:撮影する西山さん
猛暑の中、真剣なまなざしで撮影する西山さん(右)

苦しみを乗り越えた先に

クラウドファンディングで上映資金を集めたそうですね

西山:映画を上映するために180万円を目標にしていましたが、ありがたいことに352万円集まりました。そもそも資金が集まらなかったら上映できなかったんですよね。資金も無いのに、上映したい気持ちだけで先に映画館を予約して。今考えたら、当てもないのによく走り出したなって思います。

達成感はありましたか

西山:クランクアップの時は、やっと終わったという安堵の気持ちしかなかったですね。上映会の舞台あいさつで満員のお客さんを見た時に、やっと達成感を感じたかな。映画館からお客さんが出てくる時に、涙を流す人やありがとうと言ってくれる人を1000人くらい見て、その日初めて「今までの苦労が報われた、作ってよかった」と思いましたね。

写真:集合写真
無事に撮影を終えたスタッフ
映画を通して伝えたいことは

西山:映画のタイトルにもしているように「頑張らなくてもいいんだよ」というメッセージを込めています。頑張っている人や頑張れない人を励ます映画ではなくて、見た人の心に寄り添う映画にしたいと思って作りました。

反響はどうでした

西山:映画の感想フォームでは、ほとんどの人は映画の感想ではなく、「この映画は生活の中でこう生きている」とか「不登校だった息子がこの映画を見て学校に行けるようになった」など、この映画がきっかけで生活の何かが変わったことを書いてくれているコメントが多かったです。

励ます映画ではなく寄り添う映画といろんな場所で言ってきたんですが、それはどうなったら達成かずっとわからなくて。でも、そんな多くのコメントを見て、「やっと寄り添えた、やっと結論が出た」と思いましたね。

古庄:上映から2カ月経ってコメントをくれる人もいて、見た人の生活に寄り添えているんだと感じました。救われましたというコメントが多かったのですが、私たちもそのコメントを見て救われていますとお伝えしたいです。

写真:西山さんと古庄さん
映像を確認する西山さん(左)と古庄さん(右)

とりあえず飛び込んでみる

今後の夢は

西山:全く決まってないです。ずっと変わらず先が見えないからこそ、今と向き合って今できることをひたすら探していきたいです。

古庄:自分が好きなことややりたいことに正直に生きるのが夢です。この映画を通して「表現する」ことで誰かを救えるとすごく感じました。今後は、映画に限らず舞台など多方面で活躍し、表現することを通して誰かの生きるための活力になれるような存在になりたいです。

夢に向かって頑張る人へメッセージを

西山:夢って、実現することは難しいけど挑戦することは簡単。きっかけはなんでもいいので、とりあえず飛び込んでみてほしいです。私も挑戦者なので、挑戦したことが間違ってなかったと思える日まで一緒に頑張りましょう。

古庄:いろんな壁があると思いますが、それを壁と思わずに扉と考えて、扉を開いた先に何かあると信じてほしいです。諦めずに信じたものを貫き通して頑張ったら無駄なことはないと思うので、自分を信じてやっていきましょう。今夢がない人は、やるかやらないか迷ったらやるという方向に自分の気持ちを持って行けば、何かしら見つかると思うので、小さなことでも行動してみたら面白いと思います。

プロフィール

西山 夏実(にしやま なつみ)

春日市在住。趣味は、福岡サンパレスに来るミュージシャンの音楽ライブに、月に1回行くこと。最近は、自宅で飼っているハムスターと遊ぶことにはまっている。

古庄 菜々夏(ふるしょう ななか)

春日市在住。好きな場所は、演劇を好きになったきっかけの場所、ふれあい文化センター。趣味は旅行で、ユニバーサルスタジオジャパンに1人で行くことも。

夢サポート

春日市ふれあい文化センター

音楽や演劇の公演、文化サークルやワークショップなど、さまざまな事業を実施しています。古庄さんが出演していた「春日ジュニアドラマセミナー」(平成28年度終了)の公演を偶然鑑賞に来た西山さん。2人が初めて出会った場所です。

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