DREAM18 俳優 木下 あかり(きのした あかり)さん

ページ番号1007438  更新日 令和2年11月25日

続けないと、夢はかなわない

数々の映画賞に輝いた作品「あゝ、荒野」(平成29年公開)にヒロインとして出演を果たし、高い演技力で注目を集めた俳優、木下あかりさん。木下さんは、ふれあい文化センターが実施していた育成事業「春日ジュニアドラマセミナー(以下、「ドラセミ」)」への参加を機に芝居の道を歩み始めました。

当時の思い出の場所で、夢をかなえるまで、そしてこれからの話を聞きました。

写真:サンホールでの木下さん

好きだから続けていた

俳優を目指したきっかけは

春日市には幼稚園から小学校5年生まで、7年間住んでいました。ドラセミに参加したのは、小学校4、5年生の時。とにかく楽しくて、学校生活よりも濃密な時間でしたね。小さい頃の記憶は春日市、春日市での記憶はドラセミという感じです。

母も私もお芝居を見るのが好きで、小さい頃から、ミュージカルに連れて行ってもらっていました。でも、なぜドラセミに参加したのか覚えていないんです。母に聞いたら、私が学校で配られたドラセミの募集チラシを持って帰ってきて「これやりたい」って言ったそうです。

それ以来芝居を続けているのでドラセミが全ての始まりだと思っています。でも、上京するまでは、俳優になりたいというより、好きだから続けていた感じでした。

きっかけは、高校生の時。演劇部で裏方も経験して「俳優ではなくても、お芝居に関わる仕事ができたら」とは思っていて。部の先生にそう話していたら、福岡の芸能事務所を勧められたんです。

それで、その事務所のレッスンに通っていたら、偶然見に来ていた東京の芸能事務所の人に「卒業したら、上京してうちの事務所に入らないか」とスカウトされました。その時に、私にも俳優になれる可能性があるんだって考え始めましたね。

写真:春日ジュニアドラマセミナー参加当時の木下さん
春日ジュニアドラマセミナー参加当時の木下さん

俳優への道

上京することに迷いはなかったのですか

全くなかったです。俳優になれるなんて思っていなかったからこそ「やれるなら、やってみたい!」と思いました。父からは無言の反対を受けましたが、一人で上京して、それから2年くらい福岡には一度も帰りませんでした。意地になっていたのかもしれないですね。「『これに出た』と自分が思えるものに出ないと帰れない」と思っていました。

でも、上京してしばらくは、仕事は全く決まりませんでした。なかなか担当のマネージャーさんが決まらず、オーディションも受けられなくて。お芝居をしたくて上京したのに、ひたすらレッスンとアルバイトの日々。今思えば、あの頃が一番苦しかったですね。

半年ほど経って、やっとマネージャーさんが決まり、最初に受けたオーディションに運良く合格して、連続ドラマでデビューできました。初舞台も、初めて受けたオーディションで決まりました。渋谷のシアターコクーンという劇場で、第一線で活躍している俳優の皆さんと一緒で、すごく緊張したのを覚えています。本番前に、トイレから出られないくらい。

昔から、すごくあがり症なんですよ。ドラセミの時も、母が本番前にハンバーガーを届けてくれたんですが、私が頼んでいたのに、緊張して一口も食べられなかったんです。今でも、舞台をやるたびに寿命が縮まっているんじゃないかって感じています。

一番印象に残っている作品はありますか

全部大切です!でも、3年前に出演した「あゝ、荒野」という映画は、私にとって初めての長編映画でしたし、とても覚悟のいる役だったので、一生忘れられない作品になりました。撮影時には想像もしていませんでしたが、たくさんの映画賞を受賞して、多くの人に見ていただいて…本当にやってよかったなと思える作品です。

この作品もオーディションでした。実は、キャスティング(配役担当)の人が私の舞台を見てくれていて、いつか一緒に仕事をしたいと思ってくれていたそうなんです。それで、声を掛けてもらったのがきっかけでした。

写真:映画「あゝ、荒野」のワンシーン
©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

日常を大切にしたい

俳優という仕事をどう思っていますか

きっと、芝居することを目指して上京する人ってたくさんいて、でも諦めて帰っていく人もたくさんいて…私は、ただただ運が良くて、周りの人にも恵まれて、だからこそ続けられていると思うんです。もちろん芝居の実力を伴ってないといけないとは思いますが、運や人柄も大事な職業だと感じています。

人柄も大切なのですね

芸能人ってキラキラしていて、でも一般の人には冷たかったり、怖かったり…上京するまでは、勝手にそんなイメージを持っていたんです。でも、ベテランの俳優さんや第一線で活躍されている俳優さんって、本当にそんな人は1人もいないんじゃないかと思うくらい、みんな腰が低くて優しい。私もそんな人でありたいし、そういう俳優でありたいと思っています。

心掛けていることや大切にしていることはありますか

何より日常が大切だと思っています。普段の生活をきちんと過ごして、いろんな感情を経験することが、表現に生きてくると思うので。

そして、諦めないこと。とにかくできるところまで続けること。続けないと、夢はかなわないですしね。

いつでもやめようと思えばやめられるし、私の代わりなんていくらでもいる。それでも、やめない、諦めない勇気は常に持っていなければと思っています。もし、これから先「やめよう」と決断する時があるとしたら、それはきっと違う夢ができた時だろうなって思います。

写真:インタビューを受ける木下さん

諦めないで続けてほしい

今後の目標や夢は何ですか

 おばあちゃんになっても舞台に立つこと。映像の中にいること。上京した時から、有名になりたいという感覚はなく、芝居をずっと続けたいと思っているんです。

夢に向かって頑張る皆さんにメッセージをお願いします

少しでもやりたいと思うことがあるのなら、口に出してみてほしいです。私も、夢を口にしていたからこそ、今の自分があると思っているので。そして、やりたいと決めたなら、諦めないでほしい。

もちろん報われない時期も、苦しい時期もあると思います。それでも、自分の中でうそ偽りなく「これだけやった」って思えるくらい頑張っていたら、必ず、どこかで誰かが見てくれている。どんなに小さなことでも、見逃さずに見てくれている人が絶対にいる。私は、そう信じています。

そして、いずれ夢が変わったとしても、そのときの努力は無駄にはならないし、必ず何かに生きてくると思うんです。

諦めないで続けてほしい、そして、その時間を大切にしてほしいなと思います。

プロフィール

平成4年生まれ。平成24年、ドラマ「スイッチガール‼」でデビュー。高い演技力で、映画や舞台、テレビドラマやCMなど、活躍の場を広げている。

写真:サンホールの舞台に立つ木下さん

夢サポート

春日市ふれあい文化センター(福岡県春日市大谷6-24)

音楽や演劇の公演、文化サークルやワークショップなど、さまざまな事業を実施しています。

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