不思議な地名

ページID:1010929  更新日 令和5年12月5日

今回は春日市を離れ、県内の驚きの字名(あざめい)を紹介しましょう。

糞置村(くそおきむら)という荘園(しょうえん)が福井県にありました。東大寺の初期荘園の一つで「越前国足羽(あすわ)郡糞置村開田図」という古い絵図が正倉院(しょうそういん)に残っているので有名です。

よくまあこのような名前をつけたものだなと思っていましたが、調べていくうちに「糞」という字名が筑後の矢部村北矢部(現八女市)、にありました。びっくりしましたが、ただしこれは「こやし」といいます。似たような字名で「小便」も豊前の旧勝山町(かつやままち)箕田(みだ)(現みやこ町)にあり、「しょーびん」というようです。

優雅な地名では「白拍子(しらびょうし)」。白拍子は平安時代の終わりころ、立烏帽子(たちえぼし)を頭にかぶり、白い水干(すいかん)を着て腰に刀という男装で、当時のはやり歌「今様(いまよう)」に乗って、きらびやかに舞う舞姫を連想します。この字名は、筑後の旧北野町(きたのまち)大字中(おおあざなか)(現久留米市)にあります。白拍子で有名なのは静御前(しずかごぜん)、夫は源義経(みなもとのよしつね)です。この義経という地名もあります、旧三橋町(みつはしまち)蒲船津(かまふなつ)(現柳川市)です。

義経といえば、誰もが知っている家来は弁慶(べんけい)です。弁慶も三輪町(みわまち)栗田(くりだ)(現筑前町)にあります。

「歌歌エ」というとんでもなくおせっかいで、聞くだけで私のような音痴にとっては苦痛の字名が行橋市にあります。

「大根おろし」は北九州市小倉南区横代(よこしろ)や香春町(かわらまち)にあります。「だいこん」と云わず、「おおね」と言っていたようです。

物騒なところでは、「法師殺し」が香春町や田川市上伊田(かみいた)に、「女殺」が筑後のみやま市にあります。

なぜこのような字名が付いたのでしょうか。「猟師恋し」という理解不能な字名は、大任町(おおとうまち)成光(なるみつ)です。

この他にも仁義、チャンチャン、金魚、乙女、香典、比類ナシ、二十代、三十代、姫ゴゼ、珍事など不思議な字名が沢山あります。

紹介した字名は、明治の初めころ県が調査したものです。

土地の人々が名付け、呼び慣らしていたものですが、なぜそのようになったのか、長い年月で分からなくなったものは多いし、地名のつけ方にきまりは無いことが分かります。

春日市郷土史研究会 寺崎 直利(てらさき なおとし)

(市報かすが 平成28年7月15日号掲載)

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