牛
ページID:1010927 更新日 令和5年12月5日
春日には、牛の地名もあります。小倉のケン牛(ぎゅう)と須玖の牛町(うしまち)です。ケン牛は、小倉の丘陵地帯にあります。ケン牛は、七夕の牽牛星(けんぎゅうせい、彦星)を連想させますが、なぜそのような名前が付いたのかは分りません。
ここでは、須玖の牛町について少し考えてみましょう。町と付いていますが、町村の町ではなく小さな区画を意味します。現在の住居表示では日の出町2丁目、精華女子短期大学がその場所です。ここに昔、牛がたくさんいたとか、牧場があったとかいうことは聞きません。それなのになぜ「牛」という地名が付いたのか、正確なところは分かりません。
そこでこの場所の立地条件から考えてみました。この場所は、春日市中央部の丘陵地帯の西側に沿って流れてきた諸岡川と、小倉から自衛隊とJR九州南福岡電車区の間を流れてきたへちご川(境川)に挟まれていて、両河川は牛町の先で合流しています。牛町は、河川に囲まれた低地です。
水を制御するため、古来より日本で使われてきたものがあります。木を三角すい形に組み合せて作り、川の中に置かれました。それが牛に似ていたので「牛枠(うしわく)」や「牛杭(うしくい)」などと呼ばれています。河川で問題が起こりそうなところに設置されて いました。
2つの河川が合流するところは非常に危険です。へちご川は牛町の少し上流で、自衛隊の中を流れてきた沖の川とさらに合流しています。諸岡川とへちご川は二重に合流しているのです。洪水の危険のあるところです。牛の付く地名を洪水などの災害地名と指摘する専門家もいます。牛は動物の牛ではなくどうやら水に関係する地名と考えられています。少し納得できる地名の「牛町」です。
春日市郷土史研究会 寺崎 直利(てらさき なおとし)
(市報かすが 平成28年2月15日号掲載)


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