狐谷
ページID:1010923 更新日 令和5年12月5日
上白水地区に狐谷(きつねだに)という字(あざ)があります。場所は、天神山小学校の東大土居交差点の南西、白水池に囲まれた一帯です。現住所でいえば、天神山3丁目から5丁目にかけての丘陵(きゅうりょう)部に当たります。開発される以前は丘陵に浅い谷が切れ込むような地形でした。
昔はこの辺りから、白水池にかけて赤松が多く、マツタケが採れたという話を以前の調査でもよく聞きました。春日でマツタケが採れたなんて現在では信じられません。狐谷の名の由来は、この丘陵地の谷にキツネが生息していたからではないかと考えています。しかし、実際にキツネを見たという人はいませんでした。ただマツタケの話といい、この地域は優れた自然環境だったのでしょう。
キツネと付く地名は各地に見られます。キツネの生息していた場所だけでなく、例えば狐尾(きつねお)など、キツネの尻尾の形状から来た地名もあります。
キツネといえば、タヌキを忘れることはできません。地名で見ると、筑前ではキツネに比べタヌキは圧倒的に少ないのです。タヌキはキツネより私たちの身近にいる動物です。私は下白水に住んでいますが、10年位前に家の近くでタヌキを見ました。しかし、近くでキツネを見たという人はほとんどいないでしょう。キツネの方が見ることは少なかったので、反対にそこに生息していれば人々の記憶に残り、地名化したのだと私は考えます。
逆に家の周りにいたネズミやイタチの地名は、非常に少ないのです。地名は、その地域の人がその場所を特定し区別するために付けられます。ネズミやイタチはどこにでもいて特徴にならず、また、人々にとって益となることもないので、名付けにくかったのではないかと考えます。
春日市郷土史研究会 寺崎 直利(てらさき なおとし)
(市報かすが 平成27年10月15日号掲載)
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