馬場

ページID:1010926  更新日 令和5年12月5日

馬や牛は、私たちの近くではすっかり見かけなくなりました。昭和30年代初めごろまでは、福岡市の中心部の国体道路(国道202号線)でも、たまに荷車を引く馬を見かけていました。社会が農村に基盤を置いていた時代には、馬と牛は運搬や耕作の動力源として、どこの村でも見ることができました。現在の車のようなものです。

地名にも馬の付く名は多く見ることができます。馬渡、馬立、馬転(うまころび、またはまころび)や駒のつく地名です。その中でも特に多いのが、馬場です。筑前では70ほどあります。

市内の馬場は、上白水地区内の字名にあります。場所は上白水公民館の近く、旧上白水集落の一部です。

馬は牛に比べ従順で、機敏に動き、機動力があるため、軍事用に使用されていました。皆さんが知っているように武士の乗馬用や、物資の輸送用です。馬場は、そのために馬を調教するところです。

江戸時代には、武士は藩の城下に集まって住んでいました。中世においては村々に土着した武士がいて、市内にも武士団がいました。白水八幡宮の西に武士(在地領主)の館跡と思われる堀を周囲に巡らせた遺跡が見つかっています。上白水馬場と館跡は、直線で300m離れています。館に住む武士がここで馬の調教をしていたのでしょう。中世の遠い記憶が残る貴重な地名です。

春日市郷土史研究会 寺崎 直利(てらさき なおとし)

(市報かすが 平成27年12月15日号掲載)

地図
上白水周辺

このページに関するお問い合わせ

文化財課 整備活用担当
〒816-0861
福岡県春日市岡本3-57
奴国の丘歴史資料館1階
電話:092-501-1144
ファクス:092-573-1077
文化財課 整備活用担当へのお問い合わせは専用フォームへのリンク