平成29年度税制改正
ページ番号1000881 更新日 令和元年8月9日
平成29年度から適用される個人住民税の税制改正についてお知らせします。
1 給与所得控除の見直し(上限額の引き下げ)
平成26年度税制改正で、給与所得控除の見直しがされ、給与所得控除の上限が適用される給与収入1,500万円(控除額245万円)を平成28年分は1,200万円(控除額230万円)に、平成29年分以後は1,000万円(控除額220万円)に引き下げることとされました。
なお、年分は所得税における年分であり、住民税については次年度分です。
項目 | 【現行】 平成25年分~平成27年分の所得税(平成26年度~平成28年度の住民税) |
平成28年分の所得税(平成29年度の住民税) | 平成29年分以後の所得税(平成30年度以後の住民税) |
---|---|---|---|
上限額が適用される給与収入 |
1,500万円 |
1,200万円 |
1,000万円 |
給与所得控除の上限額 |
245万円 |
230万円 |
220万円 |
給与収入額から給与所得金額を求める算出表
収入金額(A) | 給与所得金額 |
---|---|
0~650,999円 | 0円 |
651,000~1,618,999円 | A-650,000円 |
1,619,000~1,619,999円 | 969,000円 |
1,620,000~1,621,999円 | 970,000円 |
1,622,000~1,623,999円 | 972,000円 |
1,624,000~1,627,999円 | 974,000円 |
1,628,000~1,799,999円 | B×2.4円 ※ B=A÷4(1,000円未満の端数切り捨て) |
1,800,000~3,599,999円 | B×2.8-180,000円 ※ B=A÷4(1,000円未満の端数切り捨て) |
3,600,000~6,599,999円 | B×3.2-540,000円 ※ B=A÷4(1,000円未満の端数切り捨て) |
6,600,000~9,999,999円 | A×0.9-1,200,000円 |
10,000,000~14,999,999円 | A×0.95-1,700,000円 |
15,000,000円~ | A-2,450,000円 |
収入金額(A) | 給与所得金額 |
---|---|
0~650,999円 | 現行と同じ |
651,000~1,618,999円 | 現行と同じ |
1,619,000~1,619,999円 | 現行と同じ |
1,620,000~1,621,999円 | 現行と同じ |
1,622,000~1,623,999円 | 現行と同じ |
1,624,000~1,627,999円 | 現行と同じ |
1,628,000~1,799,999円 | 現行と同じ |
1,800,000~3,599,999円 | 現行と同じ |
3,600,000~6,599,999円 | 現行と同じ |
6,600,000~9,999,999円 | 現行と同じ |
10,000,000~11,999,999円 | A×0.95-1,700,000円 |
12,000,000円~ | A-2,300,000円 |
収入金額(A) | 給与所得金額 |
---|---|
0~650,999円 | 現行と同じ |
651,000~1,618,999円 | 現行と同じ |
1,619,000~1,619,999円 | 現行と同じ |
1,620,000~1,621,999円 | 現行と同じ |
1,622,000~1,623,999円 | 現行と同じ |
1,624,000~1,627,999円 | 現行と同じ |
1,628,000~1,799,999円 | 現行と同じ |
1,800,000~3,599,999円 | 現行と同じ |
3,600,000~6,599,999円 | 現行と同じ |
6,600,000~9,999,999円 | 現行と同じ |
10,000,000円~ | A-2,200,000円 |
10,000,000円~ | A-2,200,000円 |
2 日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付などの義務化
平成27年度税制改正で、日本国外に居住する親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の適正化の観点から、所得税の確定申告や個人住民税の申告などにおいて、国外居住親族に係る扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・障害者控除(16歳未満の扶養親族含む)の適用を受ける者は、親族関係書類および送金関係書類を添付または提示しなければならないこととされました。
※ 給与などの年末調整や公的年金受給者が、国外居住親族(16歳未満の扶養親族含む)に係る親族関係書類および送金関係書類を扶養控除等申告書に添付または提示している場合は除きます。
※ 16歳未満の扶養親族を有するもので、個人住民税の非課税限度額の適用を受ける者も含みます。
「親族関係書類」とは
次の1.または2.のいずれかの書類(当該書類が外国語で作成されている場合には翻訳文を添付しなければならない)で、国外居住親族が申告者の親族であることを証するものをいいます。
- 申告者の国外居住親族が日本人である場合
戸籍の付票の写しその他、国または地方公共団体が発行した書類および当該国外居住親族の旅券の写し - 申告者の国外居住親族が外国人である場合
外国政府または外国の地方公共団体(以下「外国政府等」)が発行した書類
注意事項
- 親族関係書類は、国外居住親族の旅券の写しを除き、原本の添付または提示が必要です。
- 上記2.の外国政府等が発行した書類は、次のような書類です。
- 戸籍謄本
- 出生証明書
- 婚姻証明書
- 外国政府等が発行した書類について、一つの書類に国外居住親族の氏名、生年月日、住所か居所の全てが記載されていない場合には、複数の書類を組み合わせて氏名、生年月日、住所か居所を明らかにしなければなりません。
- 一つの書類だけでは国外居住親族が申告者の親族であることを証明することができない場合には、複数の書類を組み合わせて申告者の親族であることを明らかにしなければなりません。
「送金関係書類」とは
その年における次の1.または2.の書類(当該書類が外国語で作成されている場合には翻訳文を添付しなければならない)で、申告者がその年において国外居住親族の生活費または教育費に充てるための支払いを必要の都度行ったことを明らかにするものをいいます。
- 金融機関の書類またはその写しで、金融機関が行う為替取引により、申告者から、その国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類
- いわゆるクレジットカード発行会社の書類またはその写しで、クレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品などを購入したこと、およびその商品購入代金に相当する額を申告者から受領したことを明らかにする書類
注意事項
- 送金関係書類については、原本に限らずその写しも送金関係書類として取り扱うことができます。
- 送金関係書類は、次のような書類のことです。
- 外国送金依頼書の控え
その年において送金をした外国送金依頼書の控えである必要があります。 - クレジットカードの利用明細書
- クレジットカードの利用明細書とは、申告者(本人)がクレジットカード発行会社と契約を締結し、国外居住親族が使用するために発行されたクレジットカードで、その利用代金を申告者が支払うこととしているもの(いわゆる家族カード)に係る利用明細書をいいます。この場合、その利用明細書は家族カードの名義人となっている国外居住親族の送金関係書類として取り扱います。
- クレジットカードの利用明細書は、クレジットカードの利用日の年分の送金関係書類となります(クレジットカードの利用代金の支払日(引落日)の年分の送金関係書類とはならない)。
- 外国送金依頼書の控え
- 国外居住親族が複数いる場合には、送金関係書類は扶養控除等を適用する国外居住親族の各人ごとに必要となります。例えば、国外に居住する配偶者と子がいる場合で、配偶者に対してまとめて送金している場合には、その送金に係る送金関係書類は、配偶者(送金の相手方)のみに対する送金関係書類として取り扱い、子の送金関係書類として取り扱うことはできません。
- 送金関係書類については、扶養控除等を適用する年に送金などを行った全ての書類を添付または提示する必要があります。ただし、同一の国外居住親族への送金などが年3回以上となる場合には、一定の事項を記載した明細書の提出と各国外居住親族のその年の最初と最後に送金などをした際の送金関係書類を添付または提示することで、それ以外の送金関係書類の添付または提示を省略することができます。
3 金融所得課税の一体化について
これまで公社債等については、利子・譲渡・償還によって課税の仕組みが異なっていましたが、平成25年度税制改正において、税負担に左右されずに金融商品を選択できるよう、異なる税率などの課税方式の均衡化を進める観点から、株式等の課税方式と同一化することとされました。
また、特定公社債等の利子および譲渡損益ならびに上場株式等の金融商品間の損益通算範囲を拡大し、3年間の繰越控除ができるようになりました。
※ 所得税は平成28年分、個人住民税は平成29年度から適用されます。
(1)公社債の課税方式の変更
公社債については、特定公社債等と一般公社債等に区分した上で、課税方式が変更されます。
※ 特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月31日以前に発行された公社債などの一定の公社債をいいます。
特定公社債等 | 一般公社債等 |
---|---|
特定公社債 | 特定公社債以外の公社債 |
公募公社債投資信託の受益権 | 私募公社債投資信託の受益権 |
証券投資信託以外の公募公社債投資信託の受益権 | 証券投資信託以外の私募公社債投資信託の受益権 |
特定目的信託の社債的受益権での公募のもの | 特定目的信託の社債的受益権での私募のもの |
特定公社債等の利子は、源泉分離課税(所得税15パーセント、住民税5パーセント)から申告分離課税(所得税15パーセント、住民税5パーセント)に統一されます。
一般公社債等の利子等については、20パーセントの源泉分離課税が維持されます。
特定公社債等の譲渡益については、非課税から20パーセントの申告分離課税に課税方式が変更されるとともに、税制上、上場株式等と同様な取り扱いとされます(損益通算、繰越控除が可能)。
平成28年1月1日以後に行う割引債の償還及び譲渡については、20パーセントの申告分離課税とされます。平成27年12月31日以前に発行され償還差益が発行時に源泉徴収の対象とされたものについては、18パーセントの源泉分離課税(所得税18パーセント、住民税非課税)が維持されます。
内容 | 所得区分 | 現行(〜平成27年12月31日) 公社債等 |
改正後(平成28年1月1日~) 特定公社債等 |
改正後(平成28年1月1日~) 一般公社債等 |
---|---|---|---|---|
利息利子 | 利子所得 | 源泉分離課税(申告不要):20%(所得税15%、住民税5%) | 申告分離課税 20%(所得税15%、住民税5%) ※ 申告不要とした場合、譲渡損失との損益通算はできません。 |
源泉分離課税(申告不可):20%(所得税15%、住民税5%) |
売却益、譲渡損益 | 譲渡所得 | 非課税 | 譲渡所得として申告分離課税:20%(所得税15%、住民税5%) ※ 源泉徴収あり特定口座は、申告不要です。確定申告により3年間損失の繰越控除が可能です。 |
譲渡所得として申告分離課税:20%(所得税15%、住民税5%) |
償還差益 | 雑所得 | 総合課税:所得税5~45%超過累進税率、住民税10% ※ 割引債は発行時18%の源泉分離課税(所得税は18%、住民税非課税) |
譲渡所得として申告分離課税:20%(所得税15%、住民税5%) ※ 源泉徴収あり特定口座は、申告不要です。確定申告により3年間損失の繰越控除が可能です。 |
譲渡所得として申告分離課税:20%(所得税15%、住民税5%) |
※ 所得税においては、平成25年から平成49年までの間に生じる所得について、確定申告や源泉徴収の際には、表中の税率とは別に2.1パーセントの復興特別所得税が課されます。
※ 平成28年1月1日から特定公社債等についても、特定口座で計算される所得の対象として受け入れることができることとされました。
※ 平成28年1月1日以降、特定公社債等の利子等については、利子割(住民税5パーセント)の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされます。
※ 源泉徴収選択特定口座内の特定公社債等の譲渡所得として申告した場合、株式等譲渡所得割の課税対象とされます。
※ 「%」は、パーセントを表します。
(2)損益通算・繰越控除・分離課税の改組
従来可能であった上場株式等と一般株式等(未上場株式等)の間で損益通算ができなくなります。
平成28年1月からは、次の1と2の区分による別々の分離課税制度に改組されます。
区分 | 各区分内の損益通算 | 各区分内の繰越控除 |
---|---|---|
1 特定公社債および上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税(申告分離課税を選択された上場株式等の配当所得との損益通算も可能) | できる | できる |
2 一般公社債等および一般株式等(未上場株式等)に係る譲渡所得等の分離課税 | できる | できない |
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