令和6年度春日市決算審査等意見書

ページID:1016447  更新日 令和7年9月1日

地方自治法などの法令の規定に基づき令和6年度における決算などを審査しましたので、監査委員から市長に対し意見書を提出しました。その概要は、次のとおりです。

令和6年度春日市決算審査

第1 監査基準への準拠

本審査は、春日市監査基準(令和2年3月監査委員告示第2号)に準拠して実施した。

第2 審査の種類

1 一般会計および特別会計(下水道事業会計を除く。以下同じ。)

地方自治法(昭和22年法律第67号)第233条第2項に規定する審査

2 下水道事業会計

地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第30条第2項に規定する審査

第3 審査の対象

1 一般会計および特別会計

次に掲げる決算ならびに当該決算に関する証書類、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書および財産に関する調書

  1. 令和6年度春日市一般会計歳入歳出決算
  2. 令和6年度春日市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
  3. 令和6年度春日市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算
  4. 令和6年度春日市介護保険事業特別会計歳入歳出決算
  5. 令和6年度春日市土地取得事業特別会計歳入歳出決算

2 下水道事業会計

令和6年度春日市下水道事業会計決算(決算報告書、損益計算書、剰余金計算書、剰余金処分計算書、貸借対照表)ならびに当該決算に関する証書類、令和6年度春日市下水道事業報告書、キャッシュ・フロー計算書、収益費用明細書、固定資産明細書および企業債明細書

第4 審査の着眼点および主な実施内容

1 着眼点

  1. 決算その他関係書類は、関係法令に適合するよう、かつ、正確に作成されているか。
  2. 予算の執行は、適正かつ効率的に行われているか。

2 主な実施内容

  1. 決算その他関係書類について、関係諸帳簿との照合、証憑との突合、計算による突合などを行い、計数の正確性などを確認した。
  2. 決算数値について、年度間の比較などを行い、その傾向や問題点を分析した。
  3. 決算その他関係書類に関して関係部署の職員に説明を求めるとともに、必要に応じて質問を行った。なお、下水道事業会計決算については、次のとおり所管に概況説明を求めた。
    • 日 時 令和7年6月25日
    • 場 所 春日市役所監査委員事務局執務室
    • 出席者 都市整備部下水道課長、下水道課庶務担当係長、担当職員
  4. 令和6年度(出納整理期間を含む。)に実施した財務監査(支出命令書等監査および定期監査)ならびに例月現金出納検査の結果を参考にして審査を行った。

第5 審査の実施場所および日程

1 実施場所

春日市役所監査委員事務局執務室

2 日程(審査期間)

令和7年6月23日(下水道事業会計は6月3日)から令和7年8月25日まで

第6 審査の結果および意見

審査に付された一般会計および各特別会計ならびに下水道事業会計の決算その他関係書類は関係法令に準拠して作成され、その計数は正確であると認められた。

また、令和6年度における各会計の予算の執行については、おおむね適正かつ効率的に行われていると認められた。

第7 むすび(総括意見)

令和6年度は、増加する社会保障費に適切に対応しながら、春日新50年プラン関連事業である市中央部市民活動交流拠点整備事業、春日西多目的広場公園整備事業などの大型事業が着実に推進されるとともに、こども医療費支給制度の拡充や保育料の引下げ、コミュニティバスの70歳以上運賃無料化など、子育て世帯の負担軽減や高齢者の活動促進を図る取組が行われた。

また、令和5年度に引き続き、国の交付金を活用して、物価高騰による市民生活や経済活動への影響を緩和するための事業が実施された。

その結果、令和6年度の一般会計決算は、歳入総額427億6,966万円、歳出総額410億5,736万円となり、実質収支額は10億7,673万円の黒字であった。財政構造の弾力性を判断するための指標である経常収支比率は88.0パーセントとなり、令和5年度から僅かに改善した。

歳入について、その根幹となる市税は、市民税が定額減税の影響によって減収となったものの、固定資産税・都市計画税が令和6年度の評価替えの影響によって増収となり、また令和5年度と同様の高い収入率を確保したことから増収となった。その他は、一般財源である地方特例交付金と地方交付税がともに5億円を超える増収となった。

歳出について、性質別にみると、消費的経費のうち扶助費が13億5,670万円(10.0パーセント)の増となり、令和5年度に引き続き最も大きな増加となった。これは、保育所等運営事業費や児童手当費、障害者関係給付費が大きく増加したことによるものである。また、同じく消費的経費の人件費は、会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給その他の給与改定などによって4億46万円(9.2パーセント)の増となった。投資的経費の普通建設事業費は、庁舎等維持補修費、春日西多目的広場公園整備事業費、上白水市営住宅建替事業費などによって8億1,389万円(21.9パーセント)の増となり、最も高い伸び率を示した。

財産の状況について、令和6年度末の基金(特別会計および定額運用に係るものを除く。)の残高は、3億184万円増の186億4,824万円となった。基金は、安定的な財政運営を行う上で重要な役割を果たすものであり、適切に活用されたい。

国民健康保険、後期高齢者医療および介護保険に係る各特別会計は、いずれも実質収支額が黒字となった。歳入の重要項目である保険税(保険料)の収入率はいずれも令和5年度と同様の高い水準を確保するとともに、国民健康保険と介護保険については一定の基金残高を有しており、安定的な財政運営を行っていると評価できるものである。高齢化の進展などによって今後も一人当たりの給付費の増加が予想されるところ、引き続き効率的な事業運営と安定的な財政運営に努められたい。

下水道事業会計は、営業費用の増加や特別損失の計上などがあったものの、当期純利益は3億4,358万円となった。下水道事業は減価償却費が多額となることからその営業損益は損失が生じる傾向となるが、春日市下水道事業は営業費用が増加した令和6年度においても7,290万円の営業利益を確保した。下水道使用料収納率、キャッシュ・フローや各経営指標の状況については、おおむね良好であった。引き続きストックマネジメント計画に基づき老朽化が進む下水道施設の改築更新を着実に進めながら、効率的な事業運営と安定的な財政運営に努められたい。

最後に、春日市は、扶助費などが増加し続ける厳しい財政事情の中においても、財政規律を保ちながら総合計画で定められた各施策が着実に推し進められているところである。人口減少・少子高齢化が進む将来を見据えた上で、持続可能な市政を展開していくためには、財政の健全化に不断に取り組み、市政を支える基盤を確かなものとしていく必要がある。

このため、歳入面においては、市税などの高い収入率の維持と適正賦課、使用料などの受益者負担の適正化などによって自主財源の増加に努めるとともに、事業の実施に当たっては国や県などの補助金などを最大限確保することが重要である。

また、歳出面においては、各事業や行政サービスの必要性や優先順位を見定めた上でその重点化・効率化に取り組んでいくとともに、内部統制による執行管理の徹底、全庁的な視点による業務改善を行っていくことが重要である。

令和6年度春日市基金の運用状況審査

第1 監査基準への準拠

本審査は、春日市監査基準に準拠して実施した。

第2 審査の種類

地方自治法第241条第5項に規定する審査

第3 審査の対象

次に掲げる基金の運用状況報告書

  1. 令和6年度春日市高額療養費支払資金貸付基金(国民健康保険)
  2. 令和6年度春日市福祉資金貸付基金
  3. 令和6年度春日市介護保険高額介護サービス費支払資金貸付基金

第4 審査の着眼点および主な実施内容

1 着眼点

  1. 基金運用状況報告書の計数は、正確か。
  2. 基金の運用は、その設置目的に沿って、確実かつ効率的に行われているか。

2 主な実施内容

  1. 基金運用状況報告書について、関係諸帳簿との照合、計算による突合などを行い、その計数が正確であるかを確認した。
  2. 基金の運用状況について、年度間の比較などを行い、その傾向や問題点を分析した。
  3. 基金の運用状況について、関係部署の職員に説明を求めるとともに、必要に応じて質問を行った。
  4. 例月現金出納検査の結果を参考にして審査を行った。

第5 審査の実施場所および日程

1 実施場所

春日市役所監査委員事務局執務室

2 日程(審査期間)

令和7年6月23日から令和7年8月25日まで

第6 審査の結果および意見

審査に付された基金運用状況報告書の計数は、正確であると認められた。

高額療養費支払資金貸付基金(国民健康保険)および福祉資金貸付基金の運用は、その設置目的に沿って、確実かつ効率的に行われていると認められた。

介護保険高額介護サービス費支払資金貸付基金に関しては、令和6年度において貸付けおよび回収の実績はなかった。

なお、介護保険高額介護サービス費支払資金貸付基金については、その運用状況から制度および運用の検討を求める。

以下に、各基金の運用状況を示す。

1 高額療養費支払資金貸付基金(国民健康保険)

  1. 設置目的
    春日市高額療養費支払資金の貸付けに関する事務を円滑かつ効果的に行う。
  2. 基金の額
    400万円
  3. 令和6年度の運用状況
    貸付金額、回収金額ともに1万4千円で、令和6年度末における現金有高は、400万円である。

2 福祉資金貸付基金

  1. 設置目的
    • 春日市福祉資金の貸付けに関する事務を円滑かつ効果的に行う。
    • 緊急に資金を必要とする低所得世帯に対し福祉資金を貸し付けることにより、経済的自立を促進し生活の安定を図る。
  2. 基金の額
    1,000万円
  3. 令和6年度の運用状況
    貸付金額37万円、回収金額52万1千円で、令和6年度末における現金有高は、1,000万円である。

3 介護保険高額介護サービス費支払資金貸付基金

  1. 設置目的
    春日市介護保険高額介護サービス費支払資金の貸付けに関する事務を円滑かつ効果的に行う。
  2. 基金の額
    200万円
  3. 令和6年度の運用状況
    貸付金額、回収金額ともに0円で、令和6年度末における現金有高は、200万円である。
    なお、平成13年度以降、貸付実績のない状態が続いている。

 <基金の運用状況>

 

区分

 

高額療養費

支払資金貸付基金

(国民健康保険)

 

福祉資金貸付基金

介護保険

高額介護サービス費

支払資金貸付基金

令和4年度末現金有高(a)

4,000,000

9,930,000

2,000,000

令和4年度末未回収金額(b)

0

70,000

0

令和5年度

貸付金額(c)

0

381,000

0

回収金額(d)

0

300,000

0

不納欠損額(e)

0

0

0

基金繰入額(f)

0

0

0

令和5年度末現金有高

(a-c+d+f)=(g)

 

4,000,000

 

9,849,000

 

2,000,000

令和5年度末未回収金額

(b+c-d-e)=(h)

 

0

 

151,000

 

0

令和6年度

貸付金額(i)

14,000

370,000

0

回収金額(j)

14,000

521,000

0

不納欠損額(k)

0

0

0

基金繰入額(l)

0

0

0

令和6年度末現金有高

(g-i+j+l)

 

4,000,000

 

10,000,000

 

2,000,000

令和6年度末未回収金額

(h+i-j-k)

 

0

 

0

 

0

(注)

  1. 基金繰入額は、不能欠損額の補填のため一般会計から繰り入れた額をいう。
  2. 表中の数値の単位は、「円」である。

令和6年度春日市健全化判断比率審査

第1 監査基準への準拠

本審査は、春日市監査基準に準拠して実施した。

第2 審査の種類

地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)第3条第1項に規定する審査

第3 審査の対象

  1. 令和6年度決算に基づく健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)
  2. 1に掲げる比率の算定の基礎となる事項を記載した書類

第4 審査の着眼点および主な実施内容

  1. 着眼点
    健全化判断比率およびその算定の基礎となる事項を記載した書類が、関係法令に適合し、かつ、正確であるか。
  2. 主な実施内容
    • 健全化判断比率の算定の基礎となる事項を記載した書類について、決算その他関係書類や関係諸帳簿との照合、計算による突合などを行い、関係法令に準拠して作成されているか、その計数は正確であるかを確認した。
    • 健全化判断比率について、年度間の比較などによる分析を行うとともに、必要に応じて関係部署の職員に説明を求めた。

第5 審査の実施場所および日程

1 実施場所

春日市役所監査委員事務局執務室

2 日程(審査期間)

令和7年7月24日から同年8月25日まで

第6 審査の結果および意見

審査に付された健全化判断比率およびその算定の基礎となる事項を記載した書類は、関係法令に適合し、かつ、正確であることが認められた。

令和6年度決算に基づく健全化判断比率の状況について、特段の問題はない。

<健全化判断比率の状況>

区 分

令和4年度 令和5年度 令和6年度 早期健全化基準
実質赤字比率 ※1

-

-

-

12.30

連結実質赤字比率 ※1

-

-

-

17.30

実質公債費比率 ※2

2.8

2.7

2.5

25.0

将来負担比率 ※3

-

-

-

350.0

 (注)

  • ※1 「-」は赤字がない(黒字である)ことを示す。
  • ※2 3か年平均
  • ※3 将来負担比率における「-」は、将来負担すべき額よりもその支払に充てることができる財源の方が多い状態であることを示す。
  • ※4 表中の数値の単位は、「パーセント」である。

令和6年度春日市資金不足比率審査

第1 監査基準への準拠

本審査は、春日市監査基準に準拠して実施した。

第2 審査の種類

地方公共団体の財政の健全化に関する法律第22条第1項に規定する審査

第3 審査の対象

  1. 令和6年度春日市下水道事業会計決算に基づく資金不足比率
  2. 1に掲げる比率の算定の基礎となる事項を記載した書類

第4 審査の着眼点および主な実施内容

  1. 着眼点
    資金不足比率およびその算定の基礎となる事項を記載した書類が、法令に適合し、かつ、正確であるか。
  2. 主な実施内容
    • 資金不足比率の算定の基礎となる事項を記載した書類について、決算その他関係書類や関係諸帳簿との照合、計算による突合などを行い、関係法令に準拠して作成されているか、その計数は正確であるかを確認した。
    • 資金不足比率について、年度間の比較などによる分析を行うとともに、必要に応じて関係部署の職員に説明を求めた。

第5 審査の実施場所および日程

1 実施場所

春日市役所監査委員事務局執務室

2 日程(審査期間)

令和7年7月4日から同年8月25日まで

第6 審査の結果および意見

審査に付された資金不足比率およびその算定の基礎となる事項を記載した書類は、関係法令に適合し、かつ、正確であることが認められた。

令和6年度春日市下水道事業会計決算に基づく資金不足比率の状況について、特段の問題はない。

<資金不足比率の状況>

区 分

令和4年度 令和5年度 令和6年度 経営健全化基準
春日市下水道事業会計

-

-

-

20.0

 (注) 

  1. 「-」は、資金不足が発生していないことを示す。
  2. 表中の数値の単位は、「パーセント」である。

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このページに関するお問い合わせ

監査委員事務局 監査担当
〒816-8501
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