令和2年度春日市歳入歳出決算及び基金運用状況等審査意見書
ページID:1009302 更新日 令和3年10月7日
地方自治法などの法令の規定に基づいて、春日市各会計の歳入歳出決算について審査した結果、監査委員から市長に対し意見書を提出しました。概要は次のとおりです。
1 審査の対象
- 令和2年度 春日市一般会計歳入歳出決算
- 令和2年度 春日市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
- 令和2年度 春日市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算
- 令和2年度 春日市介護保険事業特別会計歳入歳出決算
- 令和2年度 筑紫地区介護認定審査会事業特別会計歳入歳出決算
- 令和2年度 春日市下水道事業会計収入支出決算
- 令和2年度 健全化判断比率および資金不足比率
- 令和2年度 特定の目的のために定額の資金を運用するための各種基金
2 審査の実施期間
令和3年6月3日から8月4日まで
3 審査の方法
決算審査に当たっては、各会計の決算書その他政令で定められた書類の合規性、計数についての正確性、予算の執行状況および財政の運営状況に主眼をおいて、会計管理者所管の関係諸帳簿との照合、点検ならびに内容の検討、関係職員からの事情聴取により審査を実施しました。また、定期監査、例月現金出納検査などの結果を参考としました。
4 審査の結果
提出された各会計の歳入歳出決算書、同事項別明細書、実質収支に関する調書および財産に関する調書ならびに下水道事業会計決算関係書類は、法令などに定められた様式に従って作成されており、各計数についても、重要な点において適正に表示しているものと認められました。
なお、一般会計歳出第2款総務費の一部の会計年度所属区分について、誤謬が認められました。
健全化判断比率および資金不足比率ならびにその基礎となる事項を記載した書類についても適正に作成されていると認められました。
各基金の計数は正確であり、その設置目的に従い適正に運用されていると認められますが、平成13年度以降貸付利用実績のない状態が続いている介護保険高額介護サービス費支払資金貸付基金については、運用などの検討を求めます。
また、当年度5月31日現在における指定金融機関などの預金残高と関係諸帳簿を照合した結果、それぞれ合致していることを確認しました。
当年度における各会計の歳入歳出予算の執行については、一般会計および介護保険事業特別会計において一部繰越しを余儀なくされたものがあるものの、おおむね所期の目的が達成されたものと認められました。
5 総括
- 当年度の一般会計歳入合計は、国の新型コロナウイルス感染症関連対策(以下「感染症関連対策」という。)による特別交付税、臨時交付金、国庫支出金などを含む513億2千万円で、前年度に比べて160億9千万円(45.7パーセント)の増となった。市税収入などの自主財源は、前年度比2.1パーセント増の183億6千万円となった。財政状況の指標となる財政力指数については、前年度に比べ0.01ポイント増の0.762となり、改善傾向が維持されている。経常収支比率は、前年度に比べて0.3ポイント増の87.2パーセントとなっており僅かに財政の硬直化の傾向がある。
- 市税などの徴収率は98.52パーセントであり、前年度に比べて0.01ポイント増となった。徴収率の上昇傾向は続いており、諸施策の実施による改善が認められる。今後も効果的な施策を講じるとともに、税負担の公平を期するため、滞納者との粘り強い折衝や資力などの実態把握に努め、新たな滞納の発生防止を図られたい。また、債権回収などの自主財源における収入に関しても、市税等と同様に、その執行に努力されたい。
- 当年度の一般会計歳出合計は、感染症対策事業費などを含む491億8千万円で、前年度に比べて155億6千万円(46.3パーセント)の増となった。性質別経費の構成は消費的経費71.5パーセント、投資的経費11.7パーセント、その他の経費16.8パーセントとなっている。人件費や物件費などの消費的経費は前年度比55.6パーセント増となったが、これは感染症関連対策の補助費などが大幅に増加(386.7パーセント)したことによるものである。投資的経費は前年度比53.2パーセント増となったが、これは小中学校施設整備事業費や市営住宅建替事業費などの普通建設事業費が増加したことによるものである。公共施設に関しては、春日市公共施設等総合管理計画等の基本方針を随時見直し、計画的な施設管理を引き続き実施されたい。
- 国民健康保険事業特別会計については、制度改革により運営主体が都道府県となった平成30年度以降、効率的な徴収事務に努めた結果、滞納繰越分を含む国保税収入率が前年度から5ポイント増の90.8パーセントに上昇し、収入未済額も7千5百万円減少した。保険給付費は、9千万円減少し64億6千万円となった。保険給付費は前年度に引き続き減少しており、国保事業の適正な運営を図るため、今後も財政健全化に一層の努力を傾注されたい。
- 介護保険事業特別会計については、介護保険料の全体の収入率が98.8パーセントと高い水準を維持している。引き続き安定的な制度運営に努められたい。
- 下水道事業会計については、有収水量が増加したことなどにより、当年度の営業収益は増加に転じ、補助金などの営業外収益も増加したため、経常利益は8千万円増加した。これらの結果、当年度は3億8千万円の純利益を確保した。しかし、当年度のコロナ禍における外出自粛などの影響による有収水量の増加は、特殊事情によるものである。今後予測される人口減少、大口使用者の節水、さらに下水道施設の老朽化に伴う改築更新費用などを見据え、引き続き事業の効率化に努められたい。
- 当年度は、感染症関連対策として約115億円の給付事業を実施した。これらは交付税などにより財源が賄われるものであるが、中小企業等応援金など本市独自の施策なども併せて実施しており、社会保障関係経費は増大し、一般会計の歳出総額は過去最大規模となっており、コロナ対応の財政措置は現在も継続している。さらに大型台風に伴う災害対策・避難所運営などのため、職員給与等費に予備費を充用して対応した。これら財政負担の増大が見込まれる状況を踏まえ、引き続き歳入確保と歳出改革を図り、市税などの徴収強化と、全庁的に無駄を徹底して排除するなど経費削減にも努められたい。
- 今後、市の業務はますます複雑多様化し、新たな行政課題に直面することが予想される。業務の効率化や事業の合理化、生産性向上などを図る必要があり、これを支える財務事務などの適正な実施や、行政運営の透明性・公平性の確保を行うためにも、効果的な内部統制の構築がこれまで以上に重要であると考える。
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