第2章 分野別まちづくり方針

ページ番号1011639  更新日 令和5年2月15日

1 土地利用の方針

1-1 土地利用の基本的方向性

市域のほぼ全域が既成市街地として利用されていることから、これまで以上に住環境の魅力向上を図るとともに、土地の高度利用等の地域地区の規制の緩和により、土地の効果的活用を図り、人口の維持及び増加に資する宅地、住宅等の立地誘導を計画的かつ戦略的に実施します。

  • 若者から子育て世代、高齢者まで多様な世代の住宅需要に対応できる魅力的な住宅地を形成します。
  • 本市の住宅地としての魅力や需要を高めるために、利便性が高く地域イメージの向上に資する商業地を形成します。

1-2 土地利用の配置及び規制、誘導の方針

1-2-1 市街化区域における方針

住居系
(1)低層住宅地(第一種低層住居専用地域、第一種住居地域)
  • (都)大土居下の原線と(都)光町大土居線の南側、(都)福岡筑紫野線及び(都)白水線に囲まれた本市南部の⼾建住宅を中心とした住宅地は、低層住宅地に位置づけ、閑静で安全な住環境の維持・向上を図ります。
  • 本地域内の多くは、建築物の高さ(10m)、外壁後退距離(1m)及び敷地の最低面積(165 ㎡)の 限度が指定され、隣接する大野城市及び那珂川市の優良住宅地とともに、ゆとりのある低層住宅地を形成しています。
    また、本市における低層の住宅地に対する住環境については、市⺠の満足度・重要度ともに高い状況にあります。
    そこで、将来的にも「住みたい、住み続けたい魅⼒ある住宅地」のイメージを継続的に形成、充実していくために、ゆとりある住環境を守っていきます。
  • 低層住宅地は、今後、高齢世帯の増加が比較的急速に進むことが予測され、空き家・空き地が増加する可能性が高いことから、多様な世代が暮らせるように住替えを促進するほか、高齢者が住みやすい住環境の形成を図ります。
(2)中高層住宅地(第一種・第二種中高層住居専用地域)
  • (都)大土居下の原線と(都)光町大土居線の北側、(都)福岡筑紫野線から⻄側を中心に広が る中高層住宅地については、「中央居住型」、「歴史文化共生型」の2つに区分し、それぞれの地域特性に応じた住宅地形成を図ります。
  • 本地域内の多くは、容積率 150%や第一種 15m 高度地区を指定することで中高層の住宅等の立地を抑制し、人口の抑制と住環境の保全を図ってきました。
    しかし、今後の人口減少社会の到来に対して定住促進を図っていくためにも、既存の住環境に配慮しつつ、多様な世代の住宅需要への対応や老朽化した既存不適格建築物の建替え等を可能とする都市計画に係る規制の緩和を検討します。
    • (1)中央居住型
      • 中高層住宅地の南部は、⼾建住宅、集合住宅及び文化・スポーツセンター施設等が調和した中高層住宅地(中央居住型)に位置づけ、利便性と安全性が両立した住環境の維持・向上を図ります。
      • 本地域は、⻄鉄春日原駅、JR 春日駅及び JR 博多南駅へのアクセス圏内であり、幹線道路沿道の生活サービス拠点にも囲まれていることから、生活利便性を⼗分満たす地域です。そこで、住環境の維持・向上を図りつつ、今後の人口減少により増加が予測される空き家等の有効活用を積極的に実施し、定住人口の維持を図ります。
    • (2)歴史文化共生型
      • 中高層住宅地の北部及び春日神社周辺は、⼾建住宅、集合住宅及び歴史的資源等が調和した中高層住宅地(歴史文化共生型)に位置づけ、歴史性を感じる落ち着いた住環境の維持・向上を図ります。
      • 本地域内は、奴国の丘歴史公園や春日神社をはじめとして、古墳や遺跡、神社が住宅地域内に点在していることから、これら地域の特徴である歴史性に⼗分に配慮した住環境づくりを進めます。
(3)都市型住宅地(第一種住居地域)
  • ⻄鉄春日原駅、JR 春日駅、JR 大野城駅及びJR博多南駅に近接する住宅地は都市型住宅地に位置づけ、鉄道駅近接の利便性の高さを活かして、⼾建住宅から中高層の集合住宅まで多様な住宅の立地促進・誘導を図ります。
  • 本地域の多くは、容積率 200%や第一種 20mの高度地区が指定されており、中高層の住宅等の立地を抑制することで住環境の保全を図ってきました。今後は、鉄道駅近接の利便性を活かした多様な住宅需要への対応と定住促進を目的として、周辺への環境に配慮しつつ高度利用を図ります。
  • 九州大学筑紫キャンパス及び福岡県立春日高校周辺は、鉄道駅近接の利便性と教育施設周辺の地域特性に配慮しつつ高度利用を図ります。
商業系
(4)中心商業地(商業地域)
  • ⻄鉄春日原駅周辺の商業地は、本市の玄関口を形成する中心商業地に位置づけ、まちの顔となる魅⼒ある商業機能等の充実を重点的に推進します。
  • 中心商業地は、「福岡で最も「住みよい」都市づくり」を実現するうえで、本市のイメージを形成する重要な場所であることから、豊かなライフスタイルを提案できる魅⼒的な生活の場として商業・業務施設等の立地を誘導し、居心地がよく歩きたくなるウォーカブルなまちなかの形成を促進します。
  • 施設立地誘導に当たっては、中心商業地全体の施設立地の誘導や景観整備等を一体的、総合的に実施する必要があるため、商店主や地域住⺠等で形成された組織を主体としたエリアマネジメントによる推進を検討します。
(5)近隣商業地(近隣商業地域)

住宅地域内の幹線道路等の交差点付近に形成されている商業施設集積地は、近隣商業地に位置づけ、地域住⺠等を対象とした生活サービス関連の商業・業務施設の立地を促進します。

(6)沿道サービス地(第一種・第二種住居地域、準住居地域)

市内を格子状に通り、住居系土地利用を区分している幹線道路(都市計画道路)に沿った地域は、 沿道サービス地に位置づけ、飲食・物販を中心とする沿道型生活サービス施設及び沿道業務施設等の立地を促進します。

特に、(都)⻑浜太宰府線の未整備区間の沿道サービス地は、その背後に立地する住宅地の環境保全も含めて、道路整備に合わせた沿道サービス施設等の立地誘導を図っていきます。

(7)大型店舗地(商業地域)

大規模商業施設が立地している地区は、大型店舗地に位置づけ、現状の商業機能の維持・向上を促進し、本市を代表する大型店舗の活性化を図ります。

住工共存系
(8)住工共存地(準工業地域)
  • 陸上自衛隊福岡駐屯地周辺の住宅地は、住工共存地に位置づけ、住環境の保全と工業用地しての利便性の確保の両立を図ります。
  • 桜ヶ丘地区は、地区計画の指定による住環境の保全を計画的に実施しており、地区計画の目的に沿った良好な住環境の維持・向上を図ります。
  • JR 博多南駅及び博多総合車両所は、博多方面への重要な交通結節点となることから、今後も機能維持を図ります。

1-2-2 市街化調整区域における方針

  • 市域南部の区域では、平成17年2月以降、市街地の形成と荒廃地の環境改善を目的とする南部白水地区地区計画に沿った開発行為が行われ、平成29年10月に地区計画区域内の一部が、市街化調整区域から市街化区域に編入されました。
  • 残された市街化調整区域については、市街化調整区域の目的に沿い、市街化の抑制と樹林地の保全を図っていきます。ただし、必要に応じて、市街化調整区域の土地利用の状況や地域特性を勘案し、周辺の市街地環境と調和した計画的な土地利用を検討します。
  • 市街化調整区域内の南部白水地区地区計画を指定している地区については、今後の土地利用の状況や地域特性を勘案し、地区計画の変更を検討します。
「土地利用方針図」については、別添pdfファイルの14ページを確認してください。

2 市街地整備の方針

2-1 市街地整備の基本的方向性

市域の大半で計画的な市街地整備や宅地開発等が実施されていることから、良好な住宅地としての魅力のさらなる向上を図ります。

  • 土地区画整理事業や宅地開発が行なわれた面整備済区域は、市街地環境の維持・向上を図ります。
  • 面整備未実施の旧市街地は、市街地環境の改善に努めます。
  • 中心市街地は、民間活力による賑わいある空間形成のため、需要に応じた高度利用を検討します。
  • 中心市街地内の商店街は、魅力ある雰囲気を維持・向上させるための施策を検討します。

2-2 市街地の整備・誘導の方針

(1)住居系市街地

  • 面整備済区域の市街地は、現状の住環境の維持・向上を図ります。なお、将来想定されている都市施設の老朽化に対しては、都市施設を計画的かつ適正に維持管理することにより、⻑寿命化を 図ります。
  • 面整備未実施の旧市街地は、幅員が⼗分に確保されていない道路があることから、道路改良のほか交通規制等の活用も含めた安全対策を図ることで、住環境の改善に努めます。
  • 地区計画を指定している区域については、地域住⺠の主体性を尊重しながら、必要な都市施設整備と⺠間施設を適切に誘導し、各地区計画に定めている目標の実現を図ります。また、地区計画 の指定外区域の住宅地域においても、地域住⺠の主体的な取組みの中で、地区計画等を活用した住環境の保全・向上を検討していきます。
  • 近年の気候変動による豪雨の多発を考慮して、過去に浸水被害等が発生した区域を中心に、適切な雨水対策、浸水対策を実施します。
  • 空き家は、高齢化の進行や人口減少により増加することが予想されています。倒壊等生活環境に悪影響を与える空き家については、空家等対策特別措置法に基づく除却を推進するとともに、利活用可能な空き家については、空家等対策計画に基づく支援を行うことで、市街地の安全確保と定住人口の維持を図ります。また、賃貸や売却等による住替え支援等、円滑な住宅流通を支援す る仕組みづくりを官⺠連携で検討します。

(2)中心市街地(中心拠点)

  • 本市の中心地であり、まちの顔である⻄鉄春日原駅周辺の商業地は、現在、⻄鉄天神大牟⽥線連続立体交差事業・⻄鉄春日原駅周辺整備事業が実施されており、今後、市⺠や⺠間事業者、既存の沿道商店街、整備された駅前広場等の資源を活用し、賑わいのある空間を形成するための基盤づくりを行っていく区域です。そこで、これらの事業にあわせて、⺠間活⼒が⼗⼆分に発揮される区域にすることを目標に、将来的な居住、商業等の需要に対応した高度利用を周辺環境・景観にも配慮しつつ検討します。
  • ⻄鉄春日原駅周辺の商店街の界隈空間は、魅⼒的な店舗が点在し商店街の雑多な雰囲気を含めて散策を楽しむことができる魅⼒ある空間となっています。今後のさらなる魅⼒向上のためにも、 リノベーションによる景観整備や公共空間の有効活用等により賑わいを演出することで、歩きたくなるウォーカブルなまちなか空間整備を促進します。
「市街地整備方針図」については、別添pdfファイルの17ページを確認してください。

3 都市施設の整備方針

3-1 都市施設整備の基本的方向性

渋滞対策を重点的かつ優先的に実施するほか、本市の大きな魅力である水と緑の豊かさを実感できるまちづくりをより一層推進し、福岡で最も魅力ある住環境を形成します。

道路・交通体系

道路網の整備と公共交通の維持・充実の両面から、道路交通の円滑化と自動車交通量の低減を図り、渋滞対策と交通安全対策を推進します。

公園緑地体系

歴史的資源や水辺等の地域特性を活用した公園・緑地空間の魅力向上とともに、地域ニーズに対応したリニューアルを行うことで、緑の質の向上を図ります。

ごみ・排水等処理施設

環境負荷の低減を図り、既存処理施設等を計画的かつ継続的に利用します。

3-2 道路・交通体系の整備方針

3-2-1 道路体系

(1)広域幹線道路

福岡都市圏における自治体間を連絡する(都)福岡筑紫野線、(都)⻑浜太宰府線、(都)那珂川宇美線、(都)井尻姪浜線、(都)井尻粕屋線及び(都)福岡前原線を広域幹線道路と位置づけ、未整備区間の整備を促進し、道路交通の円滑化による渋滞緩和及び交通安全性の維持・向上を重点的に実施します。

(2)主要幹線道路

本市の東⻄骨格幹線道路である(主)大野城⼆丈線及び(都)現人橋乙金線を主要幹線道路と位置づけ、道路交通の円滑化及び交通安全性の維持・向上を図ります。

(3)補助幹線道路

広域幹線道路や主要幹線道路、拠点間を連絡する(都)大土居下の原線、(都)光町大土居線及 び(都)筒井小倉線を補助幹線道路と位置づけ、未整備区間の整備を推進するとともに、交通安全性の維持・向上を図ります。

(4)地区幹線道路

広域幹線道路、主要幹線道路及び補助幹線道路以外の都市計画道路、県道板付牛頸筑紫野線及び市域南部の生活サービス拠点に接続する市道を地区幹線道路と位置づけ、未整備区間の整備を推 進するとともに、安全性の高い道路環境の維持・向上を図ります。

(5)歩行者・自転車空間
  • 慢性的渋滞への対策、環境負荷の低減、交通安全性の高い環境づくり及び健康増進等の観点から、都市計画道路等の計画的な整備に合わせて、歩いて楽しいウォーカブルなまちづくりや自転車の利用促進を積極的に実施します。
  • 生活道路は、人優先の考えのもと、「ゾーン 30」等の車両速度の抑制、通過交通の抑制・排除等の面的かつ総合的な交通事故対策を推進します。また、少子高齢社会の進展を踏まえ、歩行空間のバリアフリー化及び通学路・通園路における安全・安心な歩行空間の確保に努めます。
  • 幹線道路については、将来的に主要な自転車動線として活用していくため、自転車専用通行帯の整備等を検討します。

3-2-2 公共交通体系

(1)鉄道
  • 生活利便性の向上や本市への定住促進を図っていくためにも、鉄道利便性のさらなる向上を事業者へ働きかけていきます。
  • ⻄鉄春日原駅は、鉄道高架事業に合わせた駅前広場整備等により、路線バス等他の公共交通との連携強化を促進し、交通結節機能の強化を図ります。
  • JR 春日駅についても、路線バス等他の公共交通との連携強化を促進し、今後も交通結節機能の維持・充実を図ります。
(2)路線バス等地域公共交通
  • 高齢社会に対応した安全な交通手段を確保し、かつ、交通渋滞や環境負荷の低減を図るため、市⺠のバス利用を促進するとともに、運行事業者にバス利便性の維持・充実を働きかけます。
  • ⻄鉄春日原駅、JR 春日駅、JR 博多南駅等の鉄道駅へのバス路線は重要な公共交通軸であることから、今後もその路線の確保・維持を図ります。
  • 「春日市コミュニティバスやよい」は、市内のほぼ全域を網羅しており、市⺠の移動手段として定着していることから、今後も継続・充実を図ります。
(3)その他の交通
  • 高齢者や子育て世代、障がい者等、誰もが気軽に出かけやすくするためにも、ICT 技術等を活用した新たな移動サービス手段について研究します。
  • 地域公共交通機関を補完しつつ、身近で効率的な交通手段となる「カーシェアリング」等の活用誘導を検討します。
「道路・交通体系方針図」については、別添pdfファイル20ページを確認してください。

3-3 公園緑地体系の整備方針

(1)都市公園等

  • 本市を代表する春日公園、白水大池公園及び奴国の丘歴史公園については、市⺠の憩いの空間となっているため、今後も維持・活用を図ります。
  • 市内のほぼ全域に立地している住区基幹公園については、今後も維持・活用を図るとともに、地域ニーズに対応した整備・リニューアル等により公園の質の向上を図ります。
  • 身近な公園が不足している区域については、空き地や公共空間の活用等の多様な手法で公園等を確保します。
  • 公園の維持管理については、持続可能な維持管理体制の構築を、多様な主体と連携しつつ検討します。
  • 幹線道路やシンボル軸等の街路樹については、緑の豊かさを身近に実感できる緑地空間として維持・充実を図ります。

(2)ため池・その他緑地

  • 市域南部を中心に点在するため池は、本市の特徴的な環境要素であり、防災上の安全性と環境保全の必要性を考慮しながら保全・活用を図ります。
  • 春日の森特別緑地保全地区、弥生の森特別緑地保全地区をはじめ、市内に点在する樹林地については、貴重な緑地空間として保全・活用を図ります。

(3)民有地緑地等

市⺠が緑の豊かさを身近に実感できるまちを実現するために、生け垣等の緑化推進に努めます。

また、⺠有地緑化を進めるうえで、公共公益施設の緑化にかかる整備を先導的に実施します。

「公園緑地の整備方針図」については、別添pdfファイルの22ページを確認してください。

3-4 ごみ・排水等処理施設の整備方針

(1)排水施設

  • 本市の汚水管整備は 100%完了しており、今後は施設の効率的な維持管理に努めます。
  • 雨水処理については、諸岡川流域を中心に一部区間で流下能⼒が不足していることから、雨水幹線や雨水貯留施設の計画的な整備を図り、豪雨による浸水対策を実施します。また、⺠有地や公 共施設の緑化促進、都市計画道路整備等にあわせた排水性舗装、透水性舗装等の推進により、市街地全体の保水機能を高め、雨水排水施設への負担軽減を図ります。

(2)環境関連施設

  • 環境関連施設である、第3号福岡都市圏南部工場(クリーン・エネ・パーク南部)、第1号春日大野城廃棄物再生利用総合施設及び第2号春日大野城し尿処理施設については、今後も予防保全 的管理による施設の⻑寿命化対策を含めた維持管理を図ります。また、ごみの減量化・リサイクルを進め、処理施設の負荷及び環境負荷の軽減を図ります。
  • 環境関連施設を活用しながら、環境への負荷の軽減を図る「循環型都市の創造」を目指します。「ごみの発生回避」、「資源の循環的利用の実践」、「ごみの不適正処理、不法投棄の防止」に総合的に取り組むとともに、日常生活で生じるごみの減量やリサイクル製品の利用、ごみ分別ルールの徹底等を促進します。また、これらを効果的に実施するための地域活動・地域コミュニティの維持・充実を図ります。
「ごみ・排水等処理施設整備方針図」については、別添pdfファイルの24ページを確認してください。

4 自然・歴史環境保全方針

4-1 自然・歴史環境の基本的方向性

市域のほぼ全域が市街化している本市において、市街地内に点在している自然資源の保全を図るとともに、自然資源と歴史的資源を一体的に活用し、水・緑と歴史の豊かさが実感できるまち づくりを進めます。

  • 市街地内の貴重な森林(樹林地)を適切に保全します。
  • 社寺や古墳、水城等の優良な緑地として保全されている歴史的資源を活用します。

4-2 自然・歴史環境の保全・活用方針

(1)樹林地

白水大池公園周辺をはじめとする市域南部に分布する樹林地は、市街地内の貴重な樹林地として将来的に保全します。これらの樹林地は、ため池と一体になった森林及び歴史的資源の緑地であ り、ため池や歴史的資源の保全・活用と一体的に環境保全を実施します。

(2)歴史的資源

  • 市域北部を中心に、奴国の丘歴史公園(須玖岡本遺跡)をはじめとした古墳や遺跡が点在しており、これら本市の豊かな歴史的資源を積極的に保全・活用します。
  • 市域南部の春日神社や水城跡については、市街地内の貴重な緑地空間を形成しており、その保全・活用を図ります。特に、日本遺産に指定された水城跡等は、周辺市町と連携して広域的なネ ットワークを形成し、その保全活用を図ります。

(3)自然・歴史のネットワーク(回遊軸)

  • 市内に点在する歴史的資源と緑地空間、ため池をつなぎ、本市の自然・歴史的魅⼒を実感できる「町探訪コース」が設定されており、そのコースを「自然と歴史の回遊軸」と位置づけ、周辺環 境の保全・活用を積極的に図っていきます。
  • 幹線道路を利用したシンボル軸と連携し、市域全体が自然と歴史の豊かさが実感できる環境整備を図ります。
  • これら貴重な緑地やため池などの自然環境は、 生物多様性を育む貴重な緑としての機能も有することから、その保全を図ります。
「自然・歴史環境保全方針図」については、別添pdfファイルの26ページを確認してください。

5 景観形成方針

5-1 景観形成の基本的方向性

本市の豊かな水・緑と歴史を実感できる景観づくりにより、本市の魅力と愛着の向上を図っていきます。

  • 本市の景観形成の方向性を示す「景観計画」の策定を検討します。
  • ため池を中心とした緑豊かな風景と自然環境は、本市を代表する景観として保全します。
  • 弥生時代の遺跡・古墳や社寺等の歴史性や文化を活かした景観の形成を図ります。
  • 福岡県屋外広告物条例の適切な運用により、良好な景観の形成を図ります。
  • 地域毎の特徴を活かした、個性と魅力ある市街地景観の形成を図ります。

5-2 景観形成の方針

(1)自然景観

  • 白水大池公園や大牟⽥池自然公園をはじめとして、市内に点在するため池は本市の緑豊かなまちのイメージを形成する重要な景観・環境資源として保全します。
  • 「春日市溜池保全条例」により、良好な自然環境と景観を継承する取組みを実施しており、今後は、周辺市街地についても、ため池の自然景観と調和した景観形成(広告規制や街並みルール・ 緑化ルール等)を図り、貴重な景観・環境資源をより一層充実していきます。

(2)歴史・文化的景観

  • 本市の豊かな歴史的資源を魅⼒ある景観形成に積極的に活用するため、「まち探訪コース」を中心に歴史文化を実感できる景観整備等を検討します。
  • 市域北部には、奴国の丘歴史公園を中心に、古墳や遺跡が点在しており、これらを回遊する「奴国ロマンとナギの道」は、古代の歴史的資源を案内板や道路景観のモチーフにする等歴史を実感できる景観整備を実施します。
  • 市域南部には、春日公園やため池等の水と緑の豊かさにあわせて、春日神社やのぼり窯体験広場、 日本遺産に指定されている水城跡等が点在しています。これらを回遊する「春日公園とお宮の道」や「白水池と水城の道」は、自然の豊かさを実感しながら歴史文化に触れあえる景観整備として、四季を感じる緑化や歴史文化を伝える案内板の充実等を検討します。

(3)市街地景観

(1)中心拠点(中心商業地)景観
  • ⻄鉄春日原駅周辺の中心商業地は、本市の玄関口であり、⻄鉄天神大牟⽥線連続立体交差事業・⻄鉄春日原駅周辺整備事業に合わせて、まちの顔にふさわしい景観形成を図ります。
  • 賑わいを演出するために、沿道建築物の壁面位置の統一、通りに開いた利用の促進、公共空間の芝生化等の質の高い緑化の推進等、居心地がよく歩きたくなるウォーカブルな空間づくりを、商店主や地域住⺠等で形成された組織を主体としたエリアマネジメントにより進めることを検討します。
  • 市⺠主体の取組みと連携して、景観計画の策定による景観形成推進地区への指定を検討し、歩行者空間の景観整備、情報案内板の設置等の景観形成を効果的に実施します。
(2)住宅地景観
  • 本市の住宅地は、身近にある水と緑の豊かさを実感できるようにするほか、画一的な景観になりやすい⼾建住宅地について、地区毎に個性ある街並み景観の形成を誘導します。
  • 地区計画や第一種低層住居専用地域における壁面後退規制にあわせ、緑化の促進や街路樹等の地区ごとでの選定、地域主体の花いっぱい運動の実施等により、地域の個性が魅⼒と愛着の形成に役立つ景観づくりを進めます。
(3)道路景観
  • 本市の主要道路には「愛称」があり、沿道地域の個性と魅⼒を表現していることから、路線毎に特徴のある景観整備を検討し、沿道地域の魅⼒をさらに高めていきます。
  • 特に「シンボル軸」と重複する区間については、重点的・優先的に景観整備等を実施するとともに、看板規制等の沿道景観の誘導を検討します。
「景観形成方針図」については、別添pdfファイルの30ページを確認してください。

6 安全・安心まちづくり方針

6-1 安全・安心まちづくりの基本的方向性

地震、大雨等の自然災害に迅速かつ的確に対応するために、災害による被害を防ぐ「防災」と 災害時の被害を最小化する「減災」の考え方を基本とし、災害に強い市街地の形成を目指します。 市民、地域、行政が協働して、防災、減災、防犯に取り組むまちづくりを目指します。

  • 大規模な自然災害に備えた都市インフラ等の整備を推進し、災害に強い都市づくりを目指します。
  • 地域コミュニティ活動の推進により、市民と協働した防災・減災対策及び防犯対策を実施し、だれもが安心して安全に生活できる地域環境整備を目指します。

6-2 安全・安心まちづくりの方針

6-2-1 災害に強い都市づくり

(1)都市インフラの整備方針
  • 市内の主要幹線道路及び幹線道路は、大規模災害発生時に緊急通行車両の通行を確保すべき路線であることから、通行の安全性を確保し、未整備路線については早期整備に向けて取り組みます。
  • 建物が密集している地区においては、災害発生時の避難経路の確保の観点から、狭あい道路の解消の他、沿道建築物の耐震化、ブロック塀の安全確保対策等の適切な維持管理を所有者に働きかけます。
  • 市内に分布する都市公園は、災害時における避難場所、延焼を防止するオープンスペースとして重要であることから、その機能維持とともに、避難時を想定した防災機能の充実を図ります。
  • 河川については、近年頻発している記録的豪雨による浸水対策のため、県や関係機関と協⼒し、護岸等の河川改修を促進します。また、雨水幹線や雨水貯留施設の計画的整備を推進します。
  • 電気、ガス、水道等のライフラインについては、関係機関と協⼒しながら施設の防災対策等を促進し、災害時においても可能な限り使用することができる環境整備に努めます。
(2)宅地、ため池等の安全対策
  • 大規模盛土造成地については、安全性の確認を行うとともに、危険性が高い宅地がある場合には予防対策を実施します。
  • ため池については、治水対策及び土砂災害対策として、適切な維持管理を促進します。また、防災重点ため池については、利用状況や安全性等を総合的に勘案し、ストックの適正化(機能の向 上・廃止等)、保全管理体制の強化、地震・豪雨等に対する補強対策等、各々のため池に応じた対策を検討します。
  • 市南部のため池周辺等に点在している土砂災害警戒区域・特別警戒区域については、警戒・避難体制の構築等、適切な対応に努めます。
  • 公共施設用地や⺠有地内の緑化を促進し、保水機能向上による災害発生リスクの低減を図ります。
(3)避難所等の整備

避難所や避難場所に指定されている公共施設については、地域における災害対策活動の拠点となる防災拠点施設として、耐火・耐震対策に努めるとともに、災害時に機能的かつ効果的に利用で きるように、施設の維持管理を適正に行います。

(4)建築物等の耐震化

「春日市耐震改修促進計画」に基づき、公共施設等の適切な耐震性確保を図るほか、不特定多数の人が利用する⺠間集客施設については、耐震診断や改修に関する情報提供を図ることで、所有 者による耐震化を誘導します。

一般住宅についても、耐震診断や耐震改修の実施促進等の安全な市街地形成に向けた取組を推進します。

6-2-2 防災・減災まちづくり

市⺠と協働した地域コミュニティ活動の推進により、地域単位での防災・減災意識の高揚と防災・減災活動の普及を図り、自助、共助の体制を構築することで、安心して安全に生活できる地 域環境の実現を目指します。

6-2-3 防犯まちづくり

  • 犯罪が起こりにくい地域環境整備を行うため、地域防犯活動の充実を図るとともに、防犯カメラの設置を適切に実施します。また、地区自治会で主体的に行われている防犯灯の設置等の防犯活動について、継続的な支援を行います。
  • 高齢化の進行や人口減少により、今後予想されている空き家の増加は、地域の治安悪化を招き、放火等の犯罪行為の温床になる可能性があるため、空家等対策特別措置法に基づく除却を推進するとともに、利活用可能な空き家については、空家等対策計画に基づく支援を行うことで、市街地の安全確保を図ります。
「安全・安心まちづくり方針図」については、別添pdfファイルの33ページを確認してください。

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