第1回全国コミュニティ・スクール研究大会in春日市

ページ番号1001676  更新日 令和元年11月15日

平成24年8月22日、第1回全国コミュニティ・スクール研究大会がクローバープラザで開催され、北海道から沖縄まで全国の教育関係者や学校関係者、地域の人など約1,400人が参加しました。

同大会は、全国コミュニティ・スクール連絡協議会と春日市教育委員会主催、文部科学省企画協力によるもので、分科会での実践発表や全体会でのフォーラムなど多くの事例報告が行われ、活発に意見が交わされました。

全国の関係者が一堂に会し、コミュニティ・スクール(以下「CS」)について共に考え、共に学ぶ場となるとともに、春日市の取り組みが全国に注目され、CSについてより多くの皆さんに理解してもらう大変有意義な大会となりました。

コミュニティ・スクールとは

学校関係者や保護者、地域の人たちが参加する「学校運営協議会」を設置した学校のことを指します。

協議会には、

  1. 学校運営に関して教育委員会や校長に意見を述べること
  2. 校長の作成した方針などを承認すること
  3. 当該校の教職員の任用に関して意見を述べること

などの権限が与えられています。

そこでは、学校、家庭、地域が協働する取り組みについての議論や、学校や地域の行事などの情報を共有するなど、学校、家庭、地域が一緒になって子どもを育てるという目的の下、積極的に意見が交わされています。春日市では、学識経験者や教育委員会事務局職員も委員として、学校運営に携わっています。

CSでは、地域貢献活動としての児童生徒による地域行事への参加や、地域の人たちによる見守り活動、保護者による学校支援ボランティアなど、各学校、各地域によってさまざまな取り組みが行われています。いずれも学校、家庭、地域がそれぞれの役割を明確にし、責任を持って共育(きょういく)を進めています。

分科会

分科会では、CSで成果を上げている県内外の14校が発表。立ち見が出るほどの盛況で、活発に意見交換が行われました。

第1会場第2部では、天神山小学校が地域ぐるみの健康づくりについて実践発表。その取り組み「わんぱくウォーク」では、保護者や地域の皆さんも一緒に参加し、子どもたちに声を掛けたり、ハイタッチしたりする姿も見られるなど、地域ぐるみでの健康教育の推進を実感していると発表しました。

第2会場第2部では、春日北中学校が、スチューデント・コミュニティによる地域貢献活動について実践発表。生徒代表の行武 美晴(ゆくたけ みはる)さんと坂根 脩太郎(さかね しゅうたろう)さんは、「地域事業への参加を通して、地域への親近感が湧き、自分の地域という意識が出てきました」と発表。CSの取り組みによって子どもの郷土愛が確実に育まれていることが成果として見えました。

第6会場第1部では、日の出小学校が、学校と家庭の「響育(きょういく)」の取り組みについて実践発表。サマースクールやゲストティーチャー、日の出っ子ノートなどの具体的な取り組みを交えながら、学校、家庭、地域が一体となった教育活動の継続によりコミュニケーション能力や生活習慣の向上が図られ、学力向上にもつながっていると発表しました。

第7会場第1部では、春日西中学校が、校区における学校関係者評価の取り組みと成果、展望について発表。質疑応答で山下 敏博(やました としひろ)さん(下白水北自治会長)は、「若い人たちに次の世代を担ってもらうためには、どのようにこの地域を愛してもらうか、好意を持ってもらうかが大事。子どもは地域にとって大切な一員であると考えて取り組みを行っている」と述べ、同校の堀田(ほりた)校長は「お互いにやって良かったというものがないと連携は進まない」と双方向関係の構築の重要性を強調しました。

発表内容

分科会

第1会場

  1. トライ・ザ・赤松 個人レベルの深化を目指す参画意識改革(佐賀市立赤松小)
  2. 地域ぐるみの健康つくりプロジェクト(天神山小)

第2会場

  1. 教育の充実を支援する学校運営協議会を目指して(熊本県玉名市立玉名中)
  2. 「スチューデント・コミュニティ」による地域貢献活動(春日北中)

第3会場

  1. 中学校ブロックを活用した小中9年間で子どもを育む取組(那珂川町立那珂川北中)
  2. 「熟議」を活用して学校運営協議会の活動を推進した取組(佐賀県嬉野市立塩田中)

第4会場

  1. 学校・家庭・地域が協働した「桜原っ子」を育む取組(宇美町立桜原小)
  2. 地域とともにある学校づくりをめざして(大分県豊後高田市立田染小)

第5会場

  1. 地域に根ざす子どもを育てる学校づくり(大木町立大莞小)
  2. 地域と協働で子どもを育むCSと学校評価(熊本県氷川町および八代市中学校組合立氷川中)

第6会場

  1. 学校と家庭の「響育」が実る日の出小学校の取組(日の出小)
  2. 学校支援ボランティア事業を活用した地域に開かれた学校づくり(鹿児島市立武岡小)

第7会場

  1. ブロックCSにおける学校評価システムの構築(春日西中)
  2. それ面白い!やりましょう! 大人の本気が、子どもを変える!(福津市立福間中)

全体会

  • 記念講演:「教育に希望をつなぐ」大竹 美喜(おおたけ よしき)(アフラック最高顧問)
  • フォーラム:「地域とともにある学校づくりとコミュニティ・スクール」
    • 登壇者
      • 冨樫 繁樹(とがし しげき)(北海道三笠市教育委員会教育長)
      • 持田 浩志(もちだ ひろし)(東京都武蔵村山市教育委員会教育長)
      • 西 孝一郎(にし こういちろう)(京都市教育委員会首席指導主事)
      • 永江 多輝夫(ながえ たきお)(鳥取県南部町教育委員会教育長)
      • 山本 直俊(やまもと なおとし)(春日市教育委員会教育長)
    • コーディネーター
      • 佐藤 晴雄(さとう はるお)(日本大学教授・CS連絡協議会事務局長)
  • 講評:鈴木 寛(すずき かん)(CS連絡協議会顧問・元文部科学副大臣)

※ 敬称略

大会を終えて

貝ノ瀬 滋(かいのせ しげる)さん(CS連絡協議会会長・東京都三鷹市教育委員会教育長)

現在、全国で120の自治体、1183校が、さまざまな形でCSに取り組んでいます。そこで、一堂に会し情報交換を行い、先進的にCSに取り組んでいる春日の実践も見てもらおうと、春日市で開催しました。

定員を超える約1400人が来場したことからも、CSへの関心の高さが感じられます。また、社会が変わり学校にも変革が求められていますが、CSが、学校や教育委員会を変えていくツールとして認識されていることでもあると思います。

地域も、単なる連携ではなく、学校運営協議会として学校に入ります。そして、現場のことを現場に任せることで、学校運営についての工夫が生まれます。

子どもたちが地域に育てられると同時に地域の人たちも学んでいく。このことで、地域の自主性、自立につながる効果も生まれてくるのです。

山本 直俊(やまもと なおとし)教育長(春日市教育委員会)

市が進めるCSは、学校を中核に学校、家庭、地域三者が双方向の関係をつくりながら、校区という枠組みの中で共育を進めることであり、子どもたちが育つ地域基盤を形成することでもあります。

平成17年度に導入したCSが、8年目にして大きく花開いたと、大会を通じて実感しました。

その要因は、第一に「春日市の地域力、自治会を中心とした関係者の地域づくり力」。第二に「管理職・担当者を中心とした学校の創意ある主体的開かれた経営力、CS経営力」。第三に「教育委員会の活性化への挑戦力とCSの検証・総括による先を見通した総合的支援力」と分析しました。

この中でも特に、参加者が注目したのは、第一要因の「自治会を中心とした関係者の地域づくり力」です。学校支援、応援団として機能する「春日市の地域力」。これなくして春日市のCSは成立しなかったと言っても過言ではありません。

文部科学省は、今年度からCSを全国で大幅に拡大する目標を掲げました。CSをどのような方向で発展させていくか、私たちに課せられたやりがいのある課題です。

今後は、本市が独自に作成したCS評価指標のもとに発展の道筋を編み出していくことになりますが、地域と共に連携しながら構築していきたいと考えます。

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