牛頸川(2)龍神池の取水口

ページID:1010918  更新日 令和5年12月5日

昭和28年に発行された「春日町郷土誌」に「(春日町は)元来純農村で、農業用水は、牛頸(うしくび)川の一部を除き、他は全てため池から引かれている」旨のことが書かれています。つまり、春日市域の水田の水は、ほとんど人工のため池に頼っているのです。

では、そのため池の水は一体どこから来るのでしょうか。調べてみると、雨水以外の水源は、全て牛頸川の上流にありました。

牛頸川からの、春日市域にあるため池への取水口は、大野城市牛頸に2カ所あり、その1つは上牛頸の「北田堰(ぜき)」です。そこから取水される水は、上大利・白木原など主に大野城市域のため池に行きますが、その一部は「春日大野城リサイクルプラザ」北側に隣接している「池の頭(いけのかしら)池」に導水されています。

もう1つの取水口は、牛頸川支流の平野川にあり、場所は大野城市月の浦です。「月の浦堰」は、白水池・惣利池・大牟田池・春日大池・寺田池など、春日市内の大きな池の水源です。

唯一、春日原北町にある龍神池だけは、牛頸川のうち春日市域から導水されているため池です。

この池は江戸時代に農業用のため池として造られ、かつては今の5倍の面積がありました。しかし、現在では農業用水としての必要度が少なくなり、所有者は西日本鉄道株式会社で、水利権は福岡市博多区の井相田水利組合にあります。

この池の水は、春日公園のすぐ南側にある公園橋からおよそ150m下流に作られた「五区統合堰」から取り入れられています。その水は、この五区統合堰と連動して大野城市が設置している取水場からくみ上げられ、地中の導水管を通り龍神池に流れ込みます。

龍神池への取水の期間については、いろいろな経過を経て昭和58年に、大野城市と福岡市との間で協定が取り交わされています。それによると「通水期間は、毎年3月18日から5月1日までの間で、満水するまで」と決められ、厳格に守られています。通水期間の根拠は、昔からの「春彼岸入リノ日ヨリ、八十八夜迄トス」という取り決めを尊重し、現在の歴に直したものだそうです。

龍神池への給水は、平成26年度もかっきり3月18日から始まりました。

春日市郷土史研究会 平田 善積(ひらた よしずみ)

(市報かすが 平成27年4月15日号掲載)

五区統合堰の写真
五区統合堰
牛頸川から取水される龍神池の図
牛頸川から取水される龍神池

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