春日市産材活用事業

ページID:1014972  更新日 令和7年4月21日

春日市では、市中央部エリア(ふれあい文化センターなどがある大谷地区周辺)に、市内の福祉施設などを移転集約した新たな福祉の複合施設である(仮称)地域共生交流施設の建設を進めています。

施設の建設に向けた文化財調査のため、建設予定地の旧大谷ふれあい公園内の山林部に自生する樹木を、令和6年度に伐採しました。この伐採した樹木は、乾燥・製材し、「市産材」(春日市産木材)として、地球温暖化対策などの観点でできるだけ有効活用していきます。

旧大谷ふれあい公園山林部
伐採をする前の旧大谷ふれあい公園山林部

ねらい

1.伐採樹木(市産材)への炭素の貯蔵

木は、二酸化炭素を吸収して成長し、蓄積しています。伐採した木を材料として使うことで、木に蓄積した炭素をそのまま木の中に貯蔵しておくことができます。

二酸化炭素の固定化
木材への二酸化炭素の固定化(イメージ)

2.再度の植樹による二酸化炭素吸収量の増大

旧大谷ふれあい公園に自生している樹木は、樹齢80年程度の高齢の樹木です。木は、大きく成長段階にある若い木の方が多くの二酸化炭素を吸収することが分かっています。新しい施設の横には、年齢や障がいの有無にかかわらず誰もが緑に親しめる広場を設けますので、この広場に新しく若い樹木を植え、緑の循環を進めます。

天然広葉樹林(1ヘクタール)が1年間に吸収する炭素のおおよその量の推移

市産材の活用計画(予定)

1 家具などの製作

新しい施設で使う家具などを作ります。素材の良さを最大限に生かし、多くの施設利用者が親しむことができるものにします。

(製作例)オープンスペースや図書館分室で使用するベンチや机

ベンチ
新しい施設で使うベンチ(イメージ)
子ども用机・椅子
図書館分室で使う子ども用の机と椅子(イメージ)
折りたたみ机・椅子
屋外のイベント広場で使う折りたたみ机・椅子(イメージ)

2 ワークショップの開催

市民の皆様に木材に触れ、木のぬくもりを感じてもらうとともに、地球温暖化対策やカーボンニュートラル、緑の循環への理解を深めてもらえるような内容にします。

(例)緑の循環などに関する講座と「市産材」を使った小物の製作

留意事項

  • 市産材は、自然の樹木であるため、木の状態が予想しづらく、乾燥・製材の過程でも不具合が出やすいことが想定されます。このため、活用計画は、伐採後、乾燥中、製材後などの各工程における木の状態に合わせて見直していきます。
  • ワークショップの内容が固まるのは、令和8年度、家具製作の内容が固まるのは、令和9年度を予定しています。

スケジュール(予定)

令和6年度

伐採、仕分け、粗製材、天然乾燥、市産材活用計画の策定

令和7・8年度

天然乾燥、人工乾燥、製材、市産材活用計画の見直し

令和9・10年度

ワークショップ・家具製作

事業の進捗(令和6年度)

令和6年度は、樹木の伐採をしたあと、市産材として活用することにした約100本を、大川市にある保管場所に運搬し、自然乾燥などを進めました。市産材には、番号をつけ、どの木を何に使うのかを追跡できるようにしています。

9月~12月 樹木の伐採

伐採前に市産材に適した樹木に印をつけて、伐採しました。

ナンバー51のクヌギの伐採
ナンバー51のクヌギを伐採しているところ

10月~12月 保管場所への運搬

伐採の進み具体に合わせて、3回に分けて、大川市にある保管場所に運びました。

市産材の運搬
ナンバー51のクヌギなどを運び出しているところ

10月~ 自然乾燥

保管場所では、木材の水分量を減らすため、屋外などで自然乾燥をしています。

また、市産材が適切に保管されているか、保管状況など定期的に検査しています。

自然乾燥の様子
ナンバー51のクヌギの自然乾燥の様子
市産材の保管状況の検査の様子
保管状況などの検査の様子

3月 粗製材

一部の木材について、使用するサイズにカット(粗製材)しました。粗製材した木材も、乾燥を続けます。

粗製材の様子
粗製材を終えたナンバー51のクヌギ

事業についてもっと詳しく

Q1.どんな木を使うのですか。

A1.この事業では、旧大谷ふれあい公園の山林部に自生していた自然の樹木(木材にするために育てられていない樹木)を使用します。幹周や伐採後に確認できた木の状態などの条件を基に、家具製作などに適したものを市産材として選定しました。樹種としては、アラカシ、カクレミノ、クヌギ、ナギノキ、ソメイヨシノ、ヤマモモ、クスノキなどです。

現地調査
伐採前の現地調査・市産材の選定の様子

Q2.市産材として活用する樹木は、どれくらいあるのですか。

A2.家具製作やワークショップでの活用を前提に、市産材として約100本を選定しました。市産材の材積(丸太になった状態の木材の体積)は、約17立方メートルです。このうち、家具製作に使う予定の市産材の材積は、約12立方メートル、ワークショップに使う市産材の材積は、約5立方メートルとなっています。なお、最終的に家具などの材料として使える材積(製材後の体積)は、丸太の状態の体積の25%程度まで減る見込みです。これは、市産材が、自生している自然の樹木で、ほとんどが広葉樹であり、製品用に管理して育てられたまっすぐな針葉樹とは異なり、曲がりなどが多くあるため、製材するときに、使えない部分がどうしても多くなってしまうことが要因です。また、自然の樹木だからこそ、今後の粗製材や乾燥の過程で、材料として使えない部分が増えていくことも考えられますが、できるだけ多くの部分を活用できるように工夫していきます。

市産材の材積
区分 家具製作用 ワークショップ用 合計
丸太の状態の材積(推定値) 約12立方メートル 約5立方メートル 約17立方メートル
製材後の材積(見込み) 約3立方メートル 約1.3立方メートル 約4.3立方メートル

Q3.自然の樹木を木材にできるのですか。

A3.自生している自然の樹木は、管理されていないため、曲がっているなど、必ずしも木材に適しているものばかりではありません。また、自然の樹木だからこそ、「伐採してみたら中が腐っていた」「乾燥などの加工の過程で狂いやゆがみや出た」といったトラブルも想定されます。このため、福岡県内他市において、自然の樹木から家具などを製作した実績があり、製材技術に長けた専門業者に依頼することで、素材の良さを生かしつつ、できる限り木材として活用できるようにします。

市産材活用業務の受託業者

株式会社イトーキ

※ 保管・乾燥・製材などは、植木林業株式会社に再委託しています。

市産材業務の受託業者
市産材活用業務を受託した株式会社イトーキと植木林業株式会社の担当者

Q4.伐採してから家具の製作までに何年もかかるのはなぜですか。

A4.伐採したばかりの木は、その中に多くの水分を含んでいます。そのまま加工してしまうと、加工後に形が変形したり、割れたりしてしまいます。このため、木の中の水分量が一定以下になるまで、反り・割れ・狂いなどが生じないように気をつけながら、天日などで時間をかけて乾燥します(天然乾燥)。この天然乾燥だけでも、半年間から1年間はかかります。その後、そのときの木材の状態に合った用途(家具など)を決め、その用途に合わせた水分量になるまで機械で乾燥します(人工乾燥)。乾燥が終わったら、必要な部品などの形に製材していきます。このように複数の工程を経て木材を作るため、どうしても時間がかかってしまいます。

天然乾燥
天然乾燥の様子(イメージ)
人工乾燥
人工乾燥のための機械に木材を入れるところ(イメージ)
製材
製材の様子(イメージ)

Q5.自然の樹木を材料にした家具は、安全性は大丈夫ですか。

A5.以下の取組により、必要な強度を確認し、安全な家具づくりをしていきます。

材料の強度の試験

製材した材の強度を専門機関で試験(検査・測定)します。材の状況に適した家具やパーツを選定し、安全面や品質を考慮したうえで、最適な加工をします。用途や材の状態に応じて、金属のパーツを組み合わせるなどして、必要な強度を確保します。

試作品による試験

実際に作る家具が決まったら、試作品を作り、強度を試験します。必要な強度が確保されていることを確認した上で、家具などの製作に着手します。

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