住民監査請求の監査結果について(平成31年4月19日付け31春監監第17号)

ページID:1002957  更新日 令和5年5月24日

31春監監第17号

平成31年4月19日

監査請求人 様

春日市監査委員 光安 直樹

同 前田 俊雄

住民監査請求の監査結果について(通知)

平成31年2月20日付けで受理した住民監査請求の監査結果を、地方自治法第242条第4項の規定により別紙のとおり通知します。

第1 監査請求人

住所 春日市●●●●

氏名 ●●●●

第2 監査請求の要件審査

本請求は、平成31年2月20日付けで提出され、同日受付し、審査の結果、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という)第242条第1項の要件を具備しているものと認められたので、平成31年2月25日に受理を決定した。

第3 監査請求の内容

1 請求の要旨(「住民監査請求書」原文のまま記載)

(1)「春日市まちづくり交付金交付要綱(以下「交付金要綱」という)」(平成21年3月30日告示第42号)により、平成21年度から、従来の地区世話人制度が廃止され、以来、現在までに、市内35の自治会(任意の地縁団体)に交付金が支払われています。

(2)「交付金要綱」の趣旨は、春日市自治会支援規則(平成21年3月25日規則第14号)の第3条に規定するまちづくり活動を支援するため、「交付金要綱」の第3条に掲げる10項目の事業活動(限定例示)に対し、自治会の活動に要する費用の補助として支出される。しかも、公序良俗に反する活動には使用できないと解されます。

(3)他方、交付金を受けた一部の自治会が、「交付金要綱」の交付金額の大半を、自治会役員の報酬手当として、当初から継続的に支出している事実があります。この支出は、「交付金要綱」の趣旨(地域住民の利益向上)に反し、不当支出であり、春日市民の税金が事業活動ではなく、自治会役員の報酬手当として不適切に消費されている。

(4)以上の不当支出は、容認できません。故に、単位自治会を貴委員会が、指導や監査を実施したうえで、是正措置(交付金の内、不当支払いに該当する金額の返還等)を求めます。

2 事実証明書

平成30年4月22日春日原自治会定期総会で、役員が作成し説明した資料(「イ」、「オ」を除く)

ア (自治会が当日配付)30年度総会資料 自治会人件費調書の摘要欄に個別明記 当日出席の隣組長50名弱にだけ配付、地区住民に配布無し

イ (自治会を考える会作成)自治会が作成した上記「ア」を基に、自治会決算を解説した資料

ウ (平成29年度自治会決算書)

エ (平成30年度自治会予算書)

オ (平成24年2月20日)元自治会長が作成した役員報酬手当一覧表
「春日市負担」¥2,664,000は、当時の交付金の7割

第4 監査の実施

1 監査対象事項

平成30年度の春日市まちづくり交付金の支出を対象とした。

2 監査対象所管

地域生活部地域づくり課

3 監査請求人による陳述

法第242条第6項の規定により、平成31年3月8日、監査請求人の証拠の提出および陳述の機会を設けた。監査請求人からは、請求の趣旨は書面の住民監査請求書どおりとの説明があり、陳述および新たな証拠の提出はなかった。

4 監査対象部署に対する監査

監査にあたり、地域生活部地域づくり課に監査対象事項に関する関係書類、監査請求人の主張に対する弁明書および関係資料の提出を求め、その提出を受けて審査を行うとともに、関係職員の陳述を求めた。

第5 監査の結果

1 事実の概要

春日市長(以下「市長」という)は、春日市まちづくり交付金(以下「交付金」という)について、平成30年度一般会計予算において106,288,000円を計上し、平成30年3月23日に平成30年第1回春日市議会定例会において議決を受けた。

春日市内35自治会は、春日市まちづくり交付金要綱(平成21年3月要綱第42号。以下「要綱」という)第5条の規定に基づき、市長に対して平成30年4月3日から同月26日にかけて交付金の申請を行い、市長は当該申請に係る書類を審査し、同月27日に交付金の交付を決定をし、同日付で交付決定通知書を各自治会に対して交付した。その内容は、交付決定額を要綱第9条の規定に基づき、上半期と下半期に分けて各半額(100円単位で割り切れない場合は、端数を下半期にまとめて)交付するもので、各自治会からの交付金交付請求書の提出を受けて交付した。

2 監査対象事項の審査

法第242条に基づく住民監査請求は、普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の執行機関または職員による違法、不当な財務会計上の行為が、当該普通地方公共団体に財産的損害をもたらす場合に、これを予防是正などすることで当該普通地方公共団体がこうむった損害を補填するために、必要な措置を講ずべきことを財務会計行為を行う春日市の執行機関または職員を特定し請求することができるものとされ、住民全体の利益を確保する見地から定められた制度である。

このような法の規定を踏まえ、本件請求を判断すると、監査請求人は「春日市民の税金が事業活動ではなく、自治会役員の報酬手当として不適正に消費されている」ことを問題であるとして、春日市監査委員に対し自治会を対象とした監査の実施を求めている。

交付金は、要綱第2条第2項において自治会の運営および要綱第3条第1項に定める事業に要する費用の一部について春日市が交付するものであり、自治会の運営および事業の実施にはそのための活動に従事する者が必要で、その従事者に対する報酬手当が当然に含まれるものと解され、監査請求人が主張する不当支出とは言えず、春日市の財務会計上の行為に違法不当な点はない。

なお、資料によれば、監査請求人は自治会が役員手当を高額なものとしていることが不適切であるとして当該事象も監査請求の内容に含んでいるとも思われるが、明確に監査請求書に記載されておらず、また、仮に監査請求人が監査対象とするものであったとしても、自治会役員の報酬手当は自治会が自律的に決定するものであって、監査委員は自治会のこのような運営行為に対して法第242条第1項の規定に基づく住民監査請求により監査する権限はなく、監査請求人の請求に理由はない。

第6 監査委員の判断

監査対象事項の審査内容を踏まえ、監査委員としての判断を合議した結果、本件請求は理由がないものと認め法第242条第4項の規定により以下のとおり決定する。

第7 結論

本件請求を棄却する。

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