民俗資料展示室
ページ番号1009495 更新日 令和4年8月2日
今はすっかり住宅地になってしまいましたが、昭和30年ごろまでの春日市は、市域のほとんどが純農村地帯だったので、多くの人たちが農業で生計をたてていました。そのため農業生産と農家の生活に関わる民俗資料が数多く残されています。米づくりにおける年間作業と用具を通した、昭和初期ごろの農家の生活をテーマにしました。
農家の四季コーナー
春日市で使われていた農具や養蚕道具を展示しています。
農村の春夏秋冬
むかしの農家のくらしは自給自足が基本です。稲を育てて良い米を沢山つくることが春日の農家の主な仕事でした。
春になると土地を耕し、肥料をまいて夏に向けて田植えの準備をします。5月に入ると馬鍬(まぐわ)を使って代掻き(しろかき)をし、籾(もみ)をまいて苗代(なわしろ・なえしろ)を作ります。そして梅雨の時期に田植えをすると、刈り入れまで害虫の防除や除草、水路の管理などの作業が続きます。水路より高い位置にある田には水車で水を送り田の水が枯れないようにします。草刈りは回転除草機や雁爪(がんづめ)を使って行われました。
実りの秋になると、稲刈りが始まります。脱穀(だっこく)は千歯(せんば)を使って稲から籾を外します。さらに籾摺り臼(もみすりうす)ですって米から籾殻(もみがら)を外したあとに、唐箕(とうみ)と万石(ばんこく)にかけて選別し玄米にします。精米には唐臼(からうす)を用いました。
稲藁(いなわら)から生まれる用具
農家では夜の仕事として稲藁を使って、縄や筵(むしろ)、畚(ふご)などの生産用具、草鞋(わらじ)、草履(ぞうり)、足半(あしなか)、蓑(みの)などの生活用具を作ります。また、藁切り機で刻んだ藁は大切な牛馬の飼料にもなりました。
養蚕(ようさん)・紡織(ぼうしょく)
生糸(きいと)の原料である繭(まゆ)をとるために蚕(かいこ)を育てることを養蚕と言います。春日の養蚕業は、明治末から昭和初めの二十年間の盛期を経て、その後急速に衰退しました。
養蚕は農家の副業として、春、(夏)、晩秋、晩晩秋の3〜4回、稲作、麦作の合間に行うので年中忙しい毎日でした。
機織り(はたおり)は、女性の雨降りや夜の仕事で、家人の寝た後にする嫁の仕事とされていました。
「食」コーナー
食器や調理器具など、「食」に焦点を当てた民具を展示しています。
むかしの台所
食事も大正末期頃にちゃぶ台が普及するまでは一つのテーブルを囲うのではなく、1人ずつ膳(ぜん)を使っていました。
羽釜で炊いたご飯は木製のお櫃(おひつ)に移し、寒い時はお櫃を藁で作ったえぐりに入れて保温しました。また、暑い時に残ったご飯は竹製のままじょうけに入れ、涼しいところに吊るして保存しました。
石臼は、大豆や麦、そばなどを粉にする道具です。
「衣・住」コーナー
主におうちの中で使用されていた「衣」「住」に関する民具を展示しています。
さまざまな灯り
古来人々は室内の灯りに工夫を重ねてきました。初めは土器を床に置いて小さな火を燃やしていました。そして灯明皿(とうみょうざら)を高い位置に上げ、さらに広い範囲へ火を送るためにできたのが灯台(とうだい)です。しかし、火がむき出しになっている灯台では風が吹くたびに消えたり、火事になる危険性もありました。そこで生まれたのが灯台を和紙で囲んだ行灯(あんどん)です。
江戸時代に入ると、移動用として便利な提灯(ちょうちん)が生み出されました。
むかしの暖房器具
むかしの人々が暖房器具として利用していた火鉢(ひばち)や炬燵(こたつ)は炭を燃料としていたので煙は出ませんが、部屋全体を暖めるまでの火力はありませんでした。そのため、むかしの人々は工夫を重ね状況に応じたさまざまな暖房器具を生み出しました。寒さの厳しい冬の夜は湯ねこや湯たんぽが人々にとって必需品でした。行火(あんか)は上に布団を被せ、暖かくして使用していました。
ミシンの登場
裁縫箱(さいほうばこ)は嫁入り道具の一つとして女性にとっては大切なものでした。
ミシンが日本で使われ始めたのは明治30年代頃からですが、当時はたいへん高価なものであったため、持っている人はほんのわずかでした。一般家庭に普及し始めたのは、洋服が普段着として定着し始めた昭和に入ってからです。
トピック展示コーナー
季節の民具や企画展に関連する民具など、不定期で展示替えをしています。
どんなものが展示されているかは来館してからのお楽しみです。
春日の寺社とおまつりコーナー
春日市にあるお寺や神社、おまつりについてパネルで紹介しています。
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