現在位置

  1. トップページ
  2. お知らせ一覧
  3. その他
  4. 発掘調査最前線 ここまで分かった須玖遺跡群


発掘調査最前線 ここまで分かった須玖遺跡群

最終更新日 平成30年8月31日

春日市の北部に広がる須玖遺跡群。今から2,000年以上前に造られた住居や墓地などの遺跡の集合体で、当時の国内最大級の集落です。

しかも、王が住み、青銅器の生産を行うなど、当時の最先端の技術が集中していることから、「奴国の王都」と呼ばれています。

近年は、歴史を塗り替える遺物の発見が相次ぎ、マスコミにも数多く取り上げられています。

今回は、これまでの調査で明らかになった須玖遺跡群の特徴と、最新の調査経過をお知らせします。

急速に発展した大集落

春日市の中央を南北に延びる春日丘陵やその周辺は、弥生時代の住居跡や墓地などの集落(遺跡)が多数発見されています。

その範囲は、南北2キロメートル、東西1キロメートルに渡り、ほとんど途切れることはありません。

全国的にも有数の大集落ですが、弥生時代の初め頃までは、いくつかの住居や墓地が点在するだけで、それほど大きな集落ではありませんでした。

ところが、紀元前2世紀頃になると、爆発的に集落が増加します。その背景には、周辺地域から住みよい土地を目指して春日丘陵に多くの人が集まり、他地域との交易や農業などの共同生活を行う一つのまとまりになったからだと考えられます。

これらの点在する遺跡が一つの大集落を形成しているのではないかと考えられるきっかけとなったのが、須玖遺跡群西側の赤井手遺跡、竹ヶ本A遺跡と、南側の大南A遺跡、高辻E・D・F遺跡での発掘調査です。

いずれの遺跡でも大溝が発見されましたが、通常は遺跡の周囲をぐるりと囲んでいるはずの大溝が、赤井手遺跡、竹ヶ本A遺跡では西側斜面のみに、大南A遺跡、高辻E・D・F遺跡では南側のみに掘られていました。

このことから、これらの大溝は、単独の遺跡を囲むのではなく、谷を飛び越え、同遺跡群の広い範囲を囲むものと推察されます。

須玖遺跡群
須玖遺跡群を図示したイラスト

大南A遺跡大溝
大南A遺跡大溝の写真

奴国王と青銅器生産

須玖遺跡群の中心的な遺跡は、須玖岡本遺跡です。

明治32(1899)年に、岡本地区で一つの甕棺が発見されました。

この甕棺からは銅鏡30面前後、銅剣などの青銅武器が約10本、ガラス勾玉(まがたま)などが出土しました。

残念ながら正式な発掘調査でなかったために、全容は分かっていませんでしたが、後世の研究によって、その内容が分かってきました。

一般的に、甕棺から銅鏡1面でも出土すれば、その地を治めた首長の墓と推察され、大変貴重な発見になります。

しかし、この墓からは、銅鏡30面など、通常では考えられないほどの突出した副葬品が見つかっており、紀元前1世紀末頃の奴国王の墓と考えられています。

弥生時代には、青銅器は貴重品でした。始めは朝鮮半島から製品を輸入していましたが、やがて原料だけを輸入するようになり国内での生産が始まりました。

須玖岡本遺跡では、青銅器の形が彫られた石製の型(鋳型)、青銅を溶かした器や青銅のかすなど、青銅器を大量に生産していたことを示す遺物が出土しており、その数は他の遺跡を圧倒しています。

ここで作られた銅矛などは、九州だけでなく中国・四国地方や朝鮮半島まで運ばれました。このため「奴国の官営工房」(国の工房)と称されています。

青銅器を大量生産するためには、中国や朝鮮半島から原料などを手に入れなければなりません。

弥生時代に遠く離れた海外と交渉し、文化や貴重品を入手するには、福岡平野よりも広い範囲まで影響力を持った奴国王の存在があったと考えられます。

調査続報 王族の歯が出土 須玖岡本遺跡岡本地区20次調査

須玖岡本遺跡岡本地区20次調査では、王族の墓と考えられる甕棺(かめかん)墓から、銅剣とその柄飾り(青銅製把頭飾(せいどうせいはとうしょく))が出土しました。

この貴重な発見については、平成28年8月15日号の市報でお知らせしました。

発掘調査は、甕棺が埋められた墓穴を検出した段階で、金属探査などを行い、内部に青銅器があることが分かったため、精密な発掘に加え、3次元計測、CTスキャンなどの現代科学を用いた調査も行いました。

銅剣などは、甕棺内に流入した土や雨水のために錆がひどく、非常にもろくなっていました。

このため発掘現場では堀り出さずに、周辺の土と甕棺の一部を液体窒素で冷凍固化し、一緒に取り上げを行いました。

甕棺の破片ごと取り上げた銅剣と把頭飾は、室内で丁寧に土を落とすクリーニング作業を行いました。

その後、実体顕微鏡観察や3次元計測画像解析などを行った結果、銅剣が絹織物に包まれていたことも分かりました。

また、甕棺の中に骨は残っていませんでしたが、十数本の歯を発見することができました。

歯の学術研究は進んでおり、今後、そのすり減り方などから埋葬者の年齢などが分かる可能性があります。

企画展では、発掘調査や保存処理の様子を写真パネルで紹介し、出土した王族の歯や甕棺なども展示します。

須玖岡本遺跡岡本地区 20次調査4号甕棺墓
須玖岡本遺跡岡本地区 20次調査4号甕棺墓の写真

奴国の丘歴史資料館開館20周年記念考古企画展 須玖遺跡群発掘調査成果展

青銅器、鋳型などの出土品やパネルの展示で、弥生時代の大集落・須玖遺跡群について説明します。

また、近年マスコミに取り上げられた須玖タカウタ遺跡の土製鋳型や、甕棺墓から銅剣などが出土した須玖岡本遺跡岡本地区20次調査の成果も紹介します。

入場は無料です。

[日程]

平成30年9月15日(土曜日)~10月28日(日曜日)

※ 平成30年9月18日(火曜日)、10月16日(火曜日)は休館日です。

[開館時間]

午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

[場所]

春日市奴国の丘歴史資料館 特別展示室

関連講演会

[日時]

平成30年10月14日(日曜日) 午後2時~4時

[場所]

春日市奴国の丘歴史資料館 研修室

[演題]

弥生時代の青銅器生産

[講師]

後藤 直(ごとう ただし)さん(東京大学名誉教授)

[定員]

70人(申込先着順)

[申込方法]

平成30年9月14日(金曜日)~10月12日(金曜日)に、電話、ファックス、窓口のいずれかで住所、氏名、年齢、電話番号を伝える

[申込・問い合わせ先]

春日市奴国の丘歴史資料館

〒816-0861 福岡県春日市岡本3-57 春日市奴国の丘歴史資料館内

電話:092-501-1144

ファックス:092-573-1077

メールアドレス:nakoku@city.kasuga.fukuoka.jp

問い合わせ先

春日市奴国の丘歴史資料館

〒816-0861 福岡県春日市岡本3-57 春日市奴国の丘歴史資料館内

電話:092-501-1144

ファックス:092-573-1077

メールアドレス:nakoku@city.kasuga.fukuoka.jp